沖縄県名護市辺野古の新基地建設で県は、国が岩礁破砕許可を得ずに工事を進めるのは違法だとして24日午後、国を相手にした岩礁破砕の差し止め訴訟を那覇地裁に提起した。差し止め訴訟と併せて判決が出るまで工事を止めるよう求める仮処分も申し立てた。新基地建設を巡り、国と県は5度目の法廷闘争に入る。
翁長雄志知事は午後5時から県庁で記者会見し「国は辺野古案件のために漁業権運用の見解を恣意(しい)的に変えた。法治国家の在り方からは程遠い」と国の姿勢を批判した。その上で「(今回の裁判は)新基地建設の是非そのものを問うものではないが、県民の思いを置き去りにしたまま基地建設に突き進む国の姿勢が問われている」と述べ、裁判を通して国の強権的な姿勢を浮かび上がらせることができると、訴訟の意義を強調した。
記者の質問に答える形で、「漁業権の問題などを県民や国民に知らせながら、辺野古新基地を造ることの理不尽さと、政府の進め方の拙速さを訴えていく」と語った。
今回の訴訟で県は、工事海域には漁業権が存在し、工事を実施するには県による岩礁破砕許可が必要だと主張する。一方国はこれまで、名護漁業協同組合の決議により漁業権はすでに消滅しており、県から岩礁破砕許可を得る必要はないと主張している。
県は訴状で、漁業法第11条や22条を根拠に、名護漁協が総会で決議した漁業権の「一部放棄」は、漁場の「縮小」を意味し、「漁場の縮小が『変更』に該当するということは明治漁業法以来、当然のこととされ、現行法下の水産行政も一貫してこの立場をとってきた」と主張。漁業権を変更するには知事免許が必要だとした。
さらに、県が国に岩礁破砕許可申請を請求することができる理由として県は「水産資源を保護培養する公益保護の主体者」であるとし、岩礁破砕許可申請という「義務」の履行請求権を有すると主張している。