辺野古沖 海保暴挙に市民怒り 「令状主義違反」指摘も


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市民の首を押さえる海上保安官=13日、名護市辺野古沖

 【辺野古問題取材班】新基地建設が強行される名護市辺野古沖で13日、工事区域を示す浮具(フロート)の外側で延べ12人以上が拘束された。海上保安庁はこの日「フロートから300メートル以内に近づくな」と市民らに警告し、フロートから離れた場所で次々と拘束した。その際、首を押さえたり、抗議船の鍵を取り上げるなど強引だった。

市民らは「これだけ批判されても暴力的な態度や高圧的な言葉遣いをやめようとしない」などと怒りの声を上げた。
 カヌーより沖合で抗議していた市民の抗議船2隻に海上保安官が乗り込み、フロートから引き離した。うち1隻では保安官が鍵を取り上げてエンジンを止め、海保のボートで沖合にえい航した。
 その抗議船に乗船していた佐々木弘文さん(36)は保安官に3回ほど首を押さえられ、衝撃で後頭部を船のへりに強く打ったという。「ヘルメットを着けていなければけがしていたかもしれない」と震えた。同船に乗っていた男性によると、海上保安官は「佐々木押さえろ」と叫び、「確保」だけでなく「制圧」という言葉も聞こえたという。
 午前は約30人、午後は約20人の市民がカヌーで抗議活動を行った。拘束した際、海上保安庁側はゴムボート12艇でカヌー隊を取り囲んでいた。カヌー隊の女性はスパット台船上の作業員に工事中止を呼び掛ける文言を書いた看板を掲げていたところ拘束された。「前に進んでもいないのになぜ排除するのか」と不信感をあらわにした。
 海上保安官が市民を取り押さえる様子を撮影していた男性は「海保はやり方が巧妙だ。市民を取り押さえるとき、映像に映らないように後ろ向きになり手元を隠していた」と話した。
 保安官がフロートの外側で拘束する際、「犯罪を未然に防ぐため」と述べていたことについて、池宮城紀夫弁護士は「憲法や刑事訴訟法の令状主義に違反する予防拘禁に当たる」と説明。「憲法に保障される表現行為を犯罪扱いすることは、海上保安庁の職権乱用だ」と批判した。