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首里城、伝統の技術を未来へ 再建後を見据え木工・木彫の職人を育成 焼失から4年


首里城、伝統の技術を未来へ 再建後を見据え木工・木彫の職人を育成 焼失から4年 研修で原寸図の作成を進める金城誠さん(手前右)、高山克幸さん(同左)ら=20日、那覇市首里桃原町の沖縄美ら島財団那覇事務所
この記事を書いた人 Avatar photo 古堅一樹

 2019年に火災で焼失した首里城が再建された後も見据え、補修や維持・管理などに必要な伝統技術を担う職人を育成する県の事業が9月から本格的に始まった。ミリ単位で調整し、木組みで建築する工程など、首里城や関連施設を未来へつなぐために欠かせない技術や知識を学ぶ。今月末で首里城火災から4年が経過する中、参加する職人らは研修を通して伝統継承への技術や思いを深めている。

 職人育成は、県や沖縄総合事務局、沖縄美ら島財団、県立芸術大学の4者が22年11月に結んだ連携協定を踏まえた取り組み。企業や団体、個人から寄せられた「首里城未来基金」を活用する。

 受講者は木工と木彫の2分野で計7人の職人。7人は共通講座として9月に6回、県内外の研究者、専門家らの講師から文化財や伝統建築の知識を学んだ。

 座学も踏まえ、先に分野別の実習が始まったのは木工だ。長年、守礼門や円覚寺跡なども含む文化財の修復に長年携わってきた金城建設(八重瀬町)の職人4人は10月上旬から週1回の実習に励む。20日は、伝統的な木組みの技法でテーブルの土台を作るため、原寸図の作成を進めた。今後、原寸図に基づいて柱と梁(はり)を組み合わせて木組みで土台を完成させることで首里城や伝統的建築を整備・修復する際に重要な技術を学ぶ。

 金城建設で約20年、伝統的な建築の補修などに携わってきた金城誠さん(46)も受講する。「初心に戻る気持ちで学び直す。伝統技術は継承していかないといけない。新しい技術も取り入れながら学びたい」と将来を見据える。

 サービス業など別の仕事から転職し、約2年前に入社した長田博文さん(46)は、伝統技術を初めて本格的に学ぶ。原寸図を作成しながら「ミリ単位で削って合わせ、ほんの少しずれただけでも、どんどんゆがむ」と難しさを語る。学んだ技術を生かし、首里城の再建後の修復などにも「貢献し、携わっていけたらと思う」と思いを語った。

 (古堅一樹)