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豊かな舞で二代目継承 比嘉清子が襲名披露公演


豊かな舞で二代目継承 比嘉清子が襲名披露公演 初代家元比嘉清子が戦後復活させて普及させた古典女踊「柳」を踊る二代目比嘉清子=20日、浦添市の国立劇場おきなわ
この記事を書いた人 Avatar photo 田吹 遥子

 柳清本流家元二代目比嘉清子襲名披露公演「ちむくみてぃ」が20日、浦添市の国立劇場おきなわで開かれた。2020年に祖母である初代比嘉清子の名を襲名した比嘉一惠。「古典女踊の名人」とも呼ばれた初代が戦後に復活させた「柳(やなじ)」や「苧引(うーびち)」、創作した「みやらび」など代表作を二代目が豊かな舞で継承した。

 柳清本流各会派の会主ら13人による「かぎやで風」で幕を開けた。続く古典女踊「柳」は、戦後消えかけた踊りを初代比嘉清子が復活させ、流会派を超えて広めた演目。柳清本流の名称にもなる代表作の一つだ。二代目の舞は、出羽の歩みからまろやかで目を引く。柳の特徴的な足使いも流麗だった。

 「苧引」も初代が復活させた古典舞踊。葉芭蕉を織物に仕立て、いとしい人のために着物を作りたいという思いを歌った。芭蕉を裂く、糸をたぐり寄せる、布を織るといった芭蕉布を仕立てる一連の所作を手踊りのみで表現した。そこには糸や布があるようだった。

 中盤では、スクリーン上に初代が“登場”。代表作を軽やかに舞う姿は時を超え、会場を魅了した。座談会では、高弟である柳清本流和華の会家元の高良和子と柳清本流柳美会主宰の外間清子が思い出を語り、二代目へエールを送った。

フィナーレの創作「柳清の舞」を披露する二代目比嘉清子(中央)と柳清本流の会主、師範、教師ら

 第2部は初代の創作を中心に披露した。創作「仲島の浦」は、明治時代の遊郭である仲島の情景を表現した踊り。藍色の傘に、当時はやったという長めの羽織を着込んで踊る様子は、華やかさと哀愁が漂っていた。

 続く「みやらび」は、紫の会初代家元の島袋光裕が初代比嘉清子のために「恩納ナベ」として振り付けたのを、初代が練り直して完成させた作品。二代目は、ゆったりとした歩みで現れると、さっそうとした足取りで舞台中心部に。大きな手の振りと細やかな指の動きが巧みに、かつ自然に合わさる。初代の手つきを思わせる軽やかな所作は、体の内側から湧き出るような踊る喜びを感じさせた。

 フィナーレでは、会主、師範、教師らも加わり「柳清の舞」を披露。華やかな群舞には、初代を慕い、継承を誓う心が伝わった。

 (田吹遥子)