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琉舞団体「六花」が「黄金孵衣」上演 若手実演家みずみずしく


琉舞団体「六花」が「黄金孵衣」上演 若手実演家みずみずしく 神人である大母(右端・玉城知世)を残し、松(右から2人目・嘉数幸雅)と結ばれる鶴(同3人目・嘉数愛美)=12月23日、那覇市のパレット市民劇場
この記事を書いた人 Avatar photo 田吹 遥子

 伊藝武士、嘉数幸雅、喜納彩華、嘉数愛美、玉城知世の琉球舞踊家5人で構成する団体「六花(むつのはな)」が12月23日、新作組踊「黄金孵衣(くがにすぃでぃぢん)」(喜納彩華作、阿嘉修指導)を那覇市のパレット市民劇場で上演した。組踊の前には「六花」メンバーによる創作舞踊「鴛鴦(おしどり)」「くちなわ山」も披露し、若手実演家のみずみずしい風を感じる公演だった。

 「黄金孵衣」は大蛇伝説と神人(ユタ)を題材にした喜納彩華の作品。2016年度の県立芸大大学院の修士演奏で初演した。鶴(嘉数愛美)は、人の姿をした大蛇の松(嘉数幸雅)=同2人目=と恋に落ちる。妻になる人と一緒に昇天する定めがある松は鶴を誘うが、鶴は、神人である大母(玉城知世)の跡継ぎだった。大蛇の住む洞穴が村の井口をふさぎ、村が水不足に。大母が祈る中で鶴は大蛇になり、松と共に昇天する。

 神人が神に尋ねたり祈ったりする際の唱えが独特で印象的だった。大蛇になった鶴が、祈りをささげる大母の髪にそっと髪飾りをする場面の「述懐節」が別れの切なさを一層引き立てた。

 松と結ばれた鶴が昇天すると黄金色になり、村は救われる。鶴が神人の跡を継ぐのではなく、大蛇として松と昇天する道を選んで村を救う結末には、鶴の主体性や新しさを感じた。

 (田吹遥子)