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親川遥が初独演会 高音伸びやか、中低音重み 沖縄


親川遥が初独演会 高音伸びやか、中低音重み 沖縄 独唱を披露する親川遥=5月18日、浦添市の国立劇場おきなわ
この記事を書いた人 Avatar photo 田吹 遥子

 琉球古典野村流保存会師範で琉球古典音楽演奏家の親川遥の第1回独演会「志~くくるざし~」(よしもとエンタテインメント沖縄主催)が5月18日、浦添市の国立劇場おきなわで開かれた。親川らしい伸びやかでみずみずしい高音から安定した中低音まで幅広く聞かせ、新たな魅力を発揮した。

 独唱「昔蝶節(んかしはべらぶし)」「あがさ節」で幕開け。恋の歌でありながら昔節の重厚感もある「昔蝶節」は、冒頭は表情や手の動きに若干の硬さを感じたが、徐々にほぐれた。親川が「苦手な部分に挑戦したい」と選んだ「柳」は、佐辺良和のしっとりとした舞に寄り添った歌声が、華やかな空間を演出した。

 「若夏~わかなつぃ~」では、「つなぎ節」「通水節(かいみづぃぶし)」「伊集早作田節(いじゅはいつぃくてんぶし)」に若夏を歌った歌詞を乗せた。みずみずしい歌声が爽やかな空気を運んだ。

 「諸屯」は、宮城茂雄が踊った。枕を並べた夢から覚めた切ない様子を歌った「諸屯節」は、「三角目付」から次の振りへと流れるような宮城の舞に、親川のまろやかな歌声が相まって幻想的な雰囲気を醸し出した。安定感のある中低音がほどよい重みも演出した。

 フィナーレの独唱「下出し仲風節」は「待てしばし」と呼び止める一声が堂々としており、「浜千鳥」は肩の力が抜けて柔らかに響いた。

 女性演奏家の機会は男性と比べてまだ少ない。親川は「技量の底上げに取り組みたい」と語っていた。「決意表明の舞台」と臨んだ独演会は、演奏家として生きる親川の覚悟が伝わる舞台だった。

(田吹遥子)