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「自分なりの沖縄を更新」 群像新人文学賞の豊永さん、出版記念トーク 那覇 沖縄


「自分なりの沖縄を更新」 群像新人文学賞の豊永さん、出版記念トーク 那覇 沖縄 執筆秘話などについて語る豊永浩平さん=26日、那覇市のジュンク堂書店那覇店
この記事を書いた人 Avatar photo 当銘 千絵

 第67回群像新人文学賞を受賞した「月(ちち)ぬ走(は)いや、馬(うんま)ぬ走(は)い」の単行本発売を記念して、著者で現役琉球大生の豊永浩平さんを招いたトークイベントが20日、那覇市のジュンク堂書店那覇店で開かれた。会場は立ち見が出るほどの盛況ぶりで、県民の関心の高さがうかがえた。豊永さんは、受賞した時は衝撃を受け止めきれなかったが、少しずつ実感が沸いているとし、「たくさんの人に自分の書いた作品に目を通してもらえてうれしい」と喜びを語った。

 イベントはボーダーインク編集者の新城和博さん、同書店の森本浩平エグゼクティブプロデューサーとの鼎談(ていだん)で行われた。

 受賞作では多彩な筆致を評価された豊永さん。これまでの読書遍歴を問われると「中学でミステリーを読み、その後、夏目漱石や芥川龍之介など純文学の王道を通った。大学のゼミの影響で大城立裕や目取真俊など沖縄文学に触れた」と説明した。映画の評論も書いていたといい、映画監督・批評家の青山真治さんの手法も参考にするなど、幅広いジャンルから学びとヒントを得ていることを明かした。

 今後の目標については「文学だけでなくヒップホップでは(県出身アーティストの)Awichが活躍している。書き続けて生き残り、自分なりの沖縄を更新していきたい」と語った。

 単行本の発売を心待ちにしていたという那覇市在住の60代女性は「これからじっくり作品を読むが、沖縄文学を盛り上げてくれる新たな才能の誕生をうれしく思う。伸び伸び自分らしく、創作活動を続けてほしい」と激励した。

 (当銘千絵)