琉球新報の「省エネ・エコ」な新輪転機が動き出す!


琉球新報の「省エネ・エコ」な新輪転機が動き出す! 輪転機で印刷された新聞を隣の発送室まで運ぶキャリアという装置 写真・村山望
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印刷技術のさらなる前進

琉球新報は、このたび新しい輪転機を導入し、8月1日から本格稼働を始めます。「新しい輪転機の特長は? そもそも輪転機ってどういう機械なの?」―。レキオ記者が、読者の皆さんに代わって7月中旬に行われた新輪転機のテスト運転を見学し、工場長に質問してみました。

7月中旬、琉球新報の新しい輪転機のテスト運転が行われるという情報をキャッチしたレキオ記者。その様子を見学しようと、那覇市天久にある印刷工場へ向かいました。

と、その前に―。「輪転機」という言葉になじみの薄い方のために、少々解説しておきたいと思います。

「輪転機」の「輪転」は、文字通り「回転」の意味。円筒形のドラムに湾曲させた版を取り付け、回転させながら印刷する機械が「輪転機」というわけです。回転を利用することで低コストで大量かつ高速な印刷が可能となるため、新聞印刷には欠かせない存在。輪転機はいわば新聞発行の心臓部といえます。

環境にやさしい輪転機

印刷工場内を案内してくれたのは、琉球新報印刷の新垣弘司工場長。「旧機は最大40ページのうちカラーで印刷できるのは16ページでしたが、新機は24ページまでカラー面にすることが可能です。紙を折る機械を2台備えているので、2つの媒体を同時に印刷できるのも特長ですね」とニコニコした笑顔で説明します。

新垣弘司工場長

新しい輪転機は、今年で創業150年を迎えた国内最大手の新聞輪転機メーカー・東京機械製作所のシャフトレスオフセット輪転機「カラートップ・エコワイドⅡ」。製品名に「エコ」という言葉が含まれていることから分かるように、従来機に比べて消費電力や紙などの資材を削減できる環境配慮型輪転機です。印刷スピードは朝刊の場合1時間で8万部。高速印刷で新聞の安定した発行を支えてくれます。

琉球新報の新輪転機「カラートップ・エコワイドII」

実際に輪転機を見ると、その巨大さに圧倒されます。1フロアだけでもかなりの大きさですが、輪転機の各部はタワー状に積み重なっており、人が各階を移動するには階段を使用。「1階の給紙部を合わせて7階ありますね」と新垣工場長は話します。とはいえ、従来の機械よりは小型化されているのだとか。

新聞印刷はロール状に巻き取られた用紙を使います

新聞印刷はロール状に巻き取られた大きな用紙を使います。給紙された紙が各層を行き来しながら、印刷、折り、裁断の加工が行われるという流れ。仕上がった紙面は「キャリア」と呼ばれる装置で発送室に送られ、各販売店ごとに必要な部数が仕分け・梱包された後に、発送ゲートを経て指定のトラックへ積み込まれていきます。

印刷後の紙は三角板という機械で折りたたまれます
仕上がった新聞はキャリアで発送室へ送られ、各販売店ごとに必要な部数が仕分けられます

機械化されてはいますが、印刷工場のスタッフが各工程で鋭い目を光らせ、不具合がないか見守ります。

紙面づくりも心新たに

印刷技術の発展に合わせ、その時々で新世代の新聞印刷に対応してきた琉球新報。

創刊以来、ずっとモノクロ印刷だったのが、1979年に九州・沖縄地区で初めて多色カラー・オフセット輪転機を導入。その後、99年に新機に更新しました。経年劣化が進んだことから、今回、高性能の最新機を導入する運びとなりました。

琉球新報 印刷技術の歩み

かつては鉛の活字を1本1本手作業で拾い上げ、文字を組んでいました
昔の輪転機に使われていた鉛版
1979年からは活字と鉛版による凸版印刷から多色オフセット印刷へ。
九州・沖縄地区で初めて紙面をカラー化

琉球新報本紙は8月1日から新輪転機での印刷が始まっていますが、レキオは発行日の数日前に印刷を行っているため、新輪転機での印刷は次号からのスタート。新しい輪転機にふさわしく、フレッシュな情報が満載で、読者の皆さんに喜ばれる紙面をお届けするため努力していきますので、どうぞご期待ください。

(2024年8月1日付 週刊レキオ掲載)