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最古の琉球地図、国宝の壺屋焼…台湾・故宮博物館で初の琉球展 王国の逸品、一堂に きょう7日開幕


最古の琉球地図、国宝の壺屋焼…台湾・故宮博物館で初の琉球展 王国の逸品、一堂に きょう7日開幕 今回初公開される貴重な器物「右旋白螺(ヨウ・シュエン・バイ・ルオ)」を紹介する鄭永昌副処長(右端)。「右旋白螺」は身を守る「霊物」として冊封使の趙文らに与えられ、航海の無事に霊験があったとされている(故宮博物院所蔵)
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 台湾の故宮博物院(蕭宗煌院長)が同南院(嘉義県)で初開催する特別展「万国津梁―東アジア海上の琉球」が7日、始まる。世界で最も古いと思われる琉球の地図「琉球国の図」のほか、那覇歴史博物館から壺屋焼の壺「三彩三耳壺(さんさいさんじこ)」など3つの国宝も台湾で初めて展示される。展示会は12月1日まで。

 開幕を前に6日、故宮南院で内覧会が開かれ、余佩瑾(ゆーぺいじん)副院長をはじめ、同展責任者で南院処の鄭永昌(ぜんよんちゃん)副処長、県産業振興公社台北事務所の上江洲辰徳所長などが出席した。

 余副院長によると、2019年10月の首里城火災が、台湾の人々の沖縄の歴史や文化に対する関心を高めるきっかけとなったという。近年、沖縄を訪れる台湾人観光客数は沖縄の訪日観光客のトップを占めるが、台湾人の沖縄の歴史や文化に対する理解がまだ低いとも指摘される。

世界で最も古いと思われる琉球の地図「琉球国の図」。朝鮮の申叔舟が編さんした「海東諸国記」(1471年)に収録されている(台湾中央研究院歴史言語研究所所蔵)

 余副院長は「今回の展示会は台湾において初めて琉球の歴史を全面的に紹介する。展示会を通して台湾の人々が万国津梁の役割を担う琉球王国に対する理解を深めてもらいたい」と期待した。

 同展は「流動」をテーマに展開し、そのうち(1)地理と民風(2)海上の琉球と東アジアの世界(3)物の流通と芸術の伝播―の3部門を設ける。展示物は計154件。そのうち故宮博物院は所蔵する約1千件の琉球王国関係の文献や文物から約70件を厳選した。

 10月4、5日の両日、同故宮南院で琉球特別展示会のシンポジウムも開かれる予定。

 (呉俐君)