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手踊り、島言葉…沖縄の息づかい取り入れる メサイア演奏会指揮・天沼裕子の新作オペラ、東京で上演


手踊り、島言葉…沖縄の息づかい取り入れる メサイア演奏会指揮・天沼裕子の新作オペラ、東京で上演 天沼裕子が音楽を担当した新作オペラ「少年オルフェ」のワンシーン=8月3日、墨田区の両国シアターX
この記事を書いた人 Avatar photo 斎藤 学

 【東京】第50回の節目となる今年のメサイア演奏会(沖響、県合唱連盟、琉球新報社主催)で指揮を務める天沼裕子のオペラ新作「少年オルフェ」が8月3、4の両日、墨田区の両国シアターX(カイ)で上演された。新作では沖縄を意識した演出を一部シーンでも取り入れた。装い新たなメサイア演奏会に向け天沼は「指揮依頼をいただき大変光栄に感じている」と述べ、これまでの歴史を尊び、次代へつなぐ創作への思いを語った。

 新作オペラは、児童文学作家でもある米沢幸男の長編童話「少年オルフェ」が原作。天沼が脚本、作曲を務める意欲作となった。

 物語は、急死した妹を天界から取り戻そうと困難に立ち向かう11歳のすすむ少年の活躍を描く。きょうだい愛を描いた作品には「乗り越えられない試練はない」とのメッセージを込めた。的確、巧みな音楽が各シーンを飾り、熱量の絶えぬ舞台展開が鑑賞者を物語に引き込んだ。

 劇中では、人々の喜びと活気を表すシーンがあり、沖縄の手踊りや島言葉のせりふが登場。沖縄の息づかいを取り入れた演出が舞台を彩った。

 「子どもと楽しめるオペラ」と銘打った作品とあって、会場には多くの親子や児童生徒も鑑賞に来場した。関係者からは「沖縄でもぜひ、このオペラを楽しむ機会をつくれれば」と、天沼の意欲作に期待の声もあった。

 今年のメサイア演奏会には、新作「少年オルフェ」で重要な役を演じる山﨑陶子さんもソリスト(ソプラノ)で登場する。

 メサイア演奏会で女性初の指揮者として招聘(しょうへい)された天沼は東京、ドイツ、那覇を拠点に活動する。今年のメサイア演奏会に向け「この継続のため直接、間接的に寄与された方々の熱意と、その辛抱強さ、それらが報われた50回記念と信じ、関係各位に敬意を表したい」と語った。

 今年の第50回メサイア演奏会は12月15日午後4時から沖縄市民会館で開催される。

(斎藤学)