大宜味村喜如嘉の芭蕉布の美しさや、その背景にある文化について紹介する県立芸術大附属図書・芸術資料館の企画展「喜如嘉の芭蕉布展」が25日、那覇市の同館で始まった。今年は「喜如嘉の芭蕉布」が国の重要無形文化財の指定を受けて50年の節目にあたることから、改めて沖縄が世界に誇る伝統文化を広く知ってもらおうと、同館が喜如嘉の芭蕉布保存会の協力を得て企画した。11月3日まで。
芭蕉布は、亜熱帯を中心に分布する「糸芭蕉」の葉柄からとれる繊維を材料とする織物。トンボの羽のように薄くて軽いのが特徴で、独特の風合いが美しい。沖縄戦後に一度は消滅しかけたが、人間国宝・故平良敏子さんが中心となり、喜如嘉で糸芭蕉の畑を復活させ、工房を作り、現代へとつないだ経緯がある。
企画展では、平良さんの作品「経緯絣」(1986年)をはじめ、着物や羽織、ワンピース、タペストリーなどを展示するほか、芭蕉布が完成するまでの工程をまとめた記録映像を上映している。
県立芸大美術工芸学部工芸専攻織分野の花城美弥子教授は「平良先生から受け継がれた技が、今も芸大には息づいている。じかに見て、てわざのぬくもりを感じてもらいたい」と述べた。
2日午後1時からは喜如嘉の芭蕉布保存会の平良美恵子会長による展示解説もある(予約不要)。
開館は午前10時~午後5時、入場無料。
(当銘千絵)