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沖縄のホテル稼働、前年度超 コロナ制限なく旅行支援が後押し 課題は人手不足


沖縄のホテル稼働、前年度超 コロナ制限なく旅行支援が後押し 課題は人手不足
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 沖縄振興開発金融公庫は11日、2022年度県内主要ホテルの稼働状況を発表した。新型コロナウイルスの行動制限がない状況が続き、全国旅行支援もあってホテルの稼働率はシティー(那覇市内)、リゾート、宿泊特化型の3タイプいずれも前年度を上回った。一方、現状の就業者数で引き受けられる宿泊客数がコロナ前の19年を下回っているとの推計データから、深刻化する人手不足が今後の稼働に影響する可能性があると指摘した。

 調査は県内62ホテルを対象に実施した。稼働率はシティー54.1%、リゾート58.6%、宿泊特化型63%で前年度を26~30ポイント上回った。コロナ前の19年度との比較では10~20ポイント下回っている。

 客室単価はシティー1万1751円、リゾート2万4360円、宿泊特化型7415円でいずれも前年度より高く、特にリゾートはコロナ前の19年度を上回り、稼働率持ち直しや単価維持で早い回復がみられた。特に宮古、八重山のリゾートで稼働率、単価ともに上昇幅が大きい。

 コロナ禍前から建設計画が進むホテルは、直近5年で年平均3千室以上のペースで増加している。観光客数の急増に伴い、ホテル需要の回復も顕著だが、人手不足が課題として浮上している。

 公庫は今回の調査と併せ、人手不足が宿泊施設の稼働に与える影響を試算した、三井住友トラスト基礎研究所の荻島駿副主任研究員の寄稿も発表。23年5月までのデータから、直近の就業者数でどの程度の宿泊サービスが提供可能かを試算したところ、月当たりの上限値は261万人泊で、コロナ前の19年(274万人泊)をわずかに下回っていることが分かった。

 荻島氏は、今後も同様の状況が続けば「人手不足から客室の稼働を下げなければならない事態がより深刻化する可能性が高い」と分析。宿泊単価引き上げを通じた従業員の賃上げや、多様な働き方による人材確保などが不可欠と提言した。

 (當山幸都)