M&Aキャピタルパートナーズは6月30日、那覇市の沖縄ハーバービューホテルで「沖縄経営者フォーラム FC琉球面白パートナーシップのM&A舞台裏」を開催した。今年3月のM&A(合併・買収)後、FC琉球の筆頭株主となった「面白法人カヤック」の柳澤大輔代表が、SNSなどを駆使した取り組みで平日ホームゲームで過去最多の7034人の来場者数を記録したことなどを報告。M&Aに至った背景やクラブの目指す将来像を語った。
フォーラムに登壇したのは譲受側の柳澤代表と譲渡側の琉球フットボールクラブの倉林啓士郎会長、仲介したM&Aキャピタルパートナーズの武富尚紀企業情報部次長の3人。
■「面白さ」に共感
FC琉球のM&Aのきっかけとなったのはコロナ禍での経営環境やJ3降格などでチーム状況がはかばかしくなく、一部の株主が株の売却を検討し始めたことだった。倉林会長がM&Aキャピタルパートナーズに相談し、柳澤代表を紹介された。倉林会長がカヤックが掲げる「面白さ」の理念に共感したことなどで、M&Aの実現に至った。
カヤックが筆頭株主となってからFC琉球は新機軸を次々と打ち出している。ホームゲームとなったルヴァンカップ2回戦の対戦相手は格上J1のガンバ大阪だった。試合を盛り上げようと「#ひやごんの奇跡」などと銘打ったスペシャルポスターを次々と作成し、SNS上で話題となった。試合は平日夜の開催にもかかわらず、5400人以上の観客が来場したほか、格上ガンバを下す、金星も挙げた。
3回戦の対戦相手ははまたも格上J1のセレッソ大阪。「#ひやごんの奇跡」の再現を願った多くのサポーターが詰めかけるなどし、同じく平日開催で7034人が来場した。敗れたがファンの期待は高まっている。
■新スタジアム、そして今後
倉林会長はM&Aを振り返りながら「チームの雰囲気は明るくなっている。那覇へのスタジアム建設も予定しており、時間はかかると思うがいずれJ1も目指せるはずだ」と強調。柳澤代表は「試合の勝敗は方程式通りにいくものではないが、クラブを面白くはできる。ファンを増やし、サッカーを軸に沖縄全体を良くしていきたい」と展望を語った。
(当間詩朗)