prime

【詳報】沖縄の住宅地の最高価格はココ 「商業地」「工業地」のニーズ上昇の背景は


【詳報】沖縄の住宅地の最高価格はココ 「商業地」「工業地」のニーズ上昇の背景は
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 沖縄県が発表した今年7月1日時点の県内基準地価は平均変動率が住宅地4.9%、商業地4.8%上昇し、いずれもプラスを維持し、上昇幅も前年に比べ拡大した。

<住宅地>中南部で拡大、全体押し上げ

 県内住宅地の平均変動率はプラス4.9%だった。上昇は10年連続。前年調査のプラス2.7%から2.2ポイント上昇し、2年連続で上昇幅が拡大した。堅調な住宅需要から中南部で地価上昇が拡大。全体を押し上げた。

 最高価格地点は、7年連続で那覇市天久2丁目内の1平方メートル当たり33万3千円(プラス0.9%)だった。

 持ち家比率が低く潜在的な住宅需要がある中で、低金利など各種政策の効果もあり、コロナ禍で弱まっていた住宅取得意欲が再び高まってきたとみられる。

 162地点で上昇し、前年の139地点から23地点増加した。平均変動率は市町村別では宮古島市がプラス17.7%で上昇率が最も高かった。前年の10.9%から6.8ポイント伸びた。

 次いで恩納村の12.4%(前年2.7%)だった。観光需要の回復に伴うホテル建設や観光客の増加で県外からの流入も作用し、上昇幅を引き上げた。
 (謝花史哲)

<商業地>公共事業や工事活発

 県内商業地の平均変動率はプラス4.8%で、2022年調査から2.9ポイント上昇した。調査地点が設けられた25市町村のうち地価上昇は23市町村と前年比で4市町村増となった。変動率の横ばいはなく、下落は2町村で前年から1市減った。新型コロナウイルスの感染拡大に伴う行動制限が解除され、観光需要が回復しつつあることが需要をけん引。また、公共事業や民間工事も活発化していることも寄与した。

 最高価格地点は33年連続で那覇市松山1の1の14で同127万円(同4.1%)だった。

 市町村別では宮古島市が前年のプラス4.0%から大幅上昇の12.6%でトップだった。旺盛な観光需要が商業地の需要を後押しした。2位は宜野湾市でプラス9.0%だった。

 一方、マイナスに転じたのは2町村のみだった。久米島町はマイナス3.1%で県内ワーストの下落率を記録。次いで今帰仁村もマイナス0.8%だった。
 (梅田正覚)

<工業地>9年連続で全国一

 県内工業地の平均変動率は2014年以降上昇し続けており、23年も10.0%と大きく上昇した。上昇率は9年連続で全国一。近年高まる電子商取引(Eコマース)需要の拡大を背景に物流業が工業用地の確保を求めているが、県内では十分な広さの用地が確保できないため地価が高止まりしている。

 地点別に見ると、浦添市勢理客はプラス14.0%で県内トップだった。那覇市街や那覇空港へのアクセスが良いことから引き合いが強い。那覇市に隣接して近年工業地の地価上昇が続く豊見城市豊崎は今年もプラス11.3%だった。那覇港周辺の工業地に比べると相対的に割安なことから需要が高まっている。

 西原町小那覇古茶川原は東側でバイパス道路の整備事業が進んでいることからプラス11.3%となった。

 宜野湾市大山7丁目はプラス8.8%、南風原町津嘉山川下原は4.6%だった。
 (梅田正覚)