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【深掘り・市町村別一覧表アリ】沖縄の地価上昇、けん引する人気エリアは?専門家の見通しは?


【深掘り・市町村別一覧表アリ】沖縄の地価上昇、けん引する人気エリアは?専門家の見通しは? 人気観光地のひとつでもある恩納村の真栄田岬(2017年撮影)
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 沖縄県が発表した今年7月1日時点の県内基準地価は平均変動率が住宅地4.9%、商業地4.8%上昇し、いずれもプラスを維持し、上昇幅も前年に比べ拡大した。コロナ禍の行動制限が解除されてから、県内は観光客の増加などを受けて内需が拡大した。全国に先駆けて景気回復が顕著となるなど、人流の活発化が地価上昇を刺激した。背景に底堅い住宅需要があり、今後も上昇局面が続く見通しだ。

33年連続で県内最高価格地点となった那覇市松山1の1の14=19日

 上昇率が最も高かったのは市町村別で住宅地、商業地いずれも宮古島市だった。住宅地は17.7%で前年比6.8ポイント拡大。商業地は12.6%で同8.6ポイント増加した。住宅地の2位は恩納村の12.4%だった。基準地別は恩納村真栄田の1地点が最も高い28.9%で、2~5位は宮古島市の地点だった。

宮古島、需要広がる

 恩納村真栄田真栄田原36番外の上昇率28.9%は全国でも5位、県内2位の宮古島市伊良部国仲屋敷90番の同28.0%は全国9位の高さだった。中でも宮古島市は一時的にコロナの影響で停滞したが、観光需要の回復でホテル建設などが加速。島内中心部以外にも需要が広がっている。恩納村真栄田はダイビングスポットとして県内外からの移住が影響するなど、観光業が地価上昇をけん引した。

 県都那覇市でも観光客向け店舗や観光業を中心とした事務所の開設など景気回復が地価の上昇を後押し。商業地は前年の4.5%(前年0.1%)の上昇となった。住宅地でもコロナ禍の様子見から、減少していた分譲住宅着工件数が増加し、3.3%(同1.1%)上昇した。

住宅地の上昇拡大

 住宅地は那覇市で中心部と比較して割安感を残す地域の需要が増加。那覇市近郊だけでなく、北中城村で上昇率が8.9%、中城村7.7%、うるま市6.2%、南城市5.3%となるなど中南部の広い地域で地価が大きく上昇した。土地取得の難しさからマンション立地は範囲を広げ、中南部で土地区画整理が進み優良物件が出ていることもあり、取引範囲が拡大しているとみられるという。

 県内の経済動向は拡大する観光需要を背景に消費や投資も上向きで、雇用情勢も有効求人倍率は上昇し改善が続いている。

 県地価調査分科会代表幹事で国土鑑定センター社長の仲本徹不動産鑑定士は、調査基準日となった7月1日以降の景況感などから「しばらくは上昇していくだろう」と見通した。ただ7月下旬に日銀が大規模緩和策を修正して長期金利の上限を1%に引き上げたことに、仲本鑑定士は「県内地銀の金利上げ圧力があれば、影響は出てくるだろう」と指摘した。

 物価高や金利動向などが消費に影響する可能性もあり、地価の下振れへの懸念材料も横たわっている。
 (謝花史哲)