宮古島市の経済活動が再び過熱している。19日に発表された7月1日時点の県内基準地価で、宮古島市の平均変動率は住宅地がプラス17・7%、商業地がプラス12・6%といずれも県内では最も高い上げ幅となった。
観光需要の回復に伴い島外者による取引を呼び込み、新型コロナウイルス禍の前から急騰していた地価の上昇に拍車を掛けている。
宮古島市は伊良部大橋が開通した2015年以降、観光客が徐々に増え、ホテルの建設ラッシュが起きた。それに伴い投機目的とみられる土地取引も活性化。コロナが発生した20年には商業地でプラス31・5%も上昇し、平均価格が19年の1平方メートル7万900円から9万4200円に跳ね上がった。
コロナの影響で21~22年はプラス4%台に落ち着いたが、今年に入ってリゾートホテルが次々と開業。新たな計画も進む。この動きに先駆け住宅地の上昇率は22年から10%台に拡大していた。
飲食店や土産店などが立ち並ぶ宮古島市平良の繁華街「西里通り」では、周辺に残る古い建物が取り壊され、新たなテナントビルや宿泊施設の建設が集中する。観光需要が再燃し、観光客向け店舗など新規出店が相次ぐ。
市内の不動産関係者は「コロナ禍で海外に行くことができなくなり、国内に向いた需要が宮古島に流れた」と分析。資材高も影響し、建設業関係者によると、約10年前は1坪7千円だったテナント代の相場は1万2千~1万5千円に上がっているという。
宮古島社交飲食業生活衛生同業協会の奥平玄信会長は「テナント代が1坪2万円する物件もある。新規参入しようと思っても資金のある人しかできない」と吐露。賃貸住宅では「1ルーム10万円の部屋もあった。宮古島市民が普通に働いて住める部屋ではない」と困惑を隠せない。
コロナ対策が緩和され、ホテルや飲食店などは人手不足の解消が急がれるが、島外から従業員を確保しようにも賃料が高く入居先を探しにくいのが現状だ。
好景気に沸く宮古島市だが地元住民の賃金は比例して上がっておらず、〝投資先行〟を懸念する声も漏れる。建設業関係者は「今の所得水準では地元の労働者や企業にとって厳しいのが実情だろう」と話した。
(友寄開、謝花史哲)