りゅうぎん総合研究所は23日、防衛省関連予算の経済効果に関する調査リポートを発表した。沖縄防衛局が発注した2022年度の建設工事の契約額から、経済波及効果を910億6100万円と試算した。契約額のうち県内企業の受注割合は43.9%だった。県や市町村の発注工事が減る半面、辺野古埋め立てや宮古、八重山での自衛隊施設関連など国発注が増加し「県内公共工事に占めるウエートが大きくなっていることが示唆される」と指摘した。
公共工事の財源を含む内閣府沖縄関係予算と防衛省関連予算のうち、沖縄関係予算は近年減額傾向にある。防衛省関連予算は米軍再編経費など沖縄関係3項目の合計が23年度当初額で3097億円(歳出ベース)となり、沖縄関係予算(2679億円)を上回っている。
沖縄関係予算の減額が県や市町村の発注工事に影響する一方、りゅうぎん総研が集計した沖縄防衛局の発注工事は21年度に大きく増加し、22年度は1281億2600万円だった。
このうち県内企業の受注額は562億4100万円(43・9%)と推計され、半額以下にとどまった。この数字から試算した経済波及効果が910億6100万円となり、りゅうぎん総研の豊田良二社長は「経済効果を上げるためには元請けの受注を高めることが必要になる」と述べた。
りゅうぎん総研が防衛予算の経済効果に特化した調査を実施したのは初めて。今後も自衛隊配備計画などが控え、防衛関連工事は需要が見込まれる。リポートは県内企業の参入機会の減少や、技術力などを背景とした受注状況の二極化が懸念されるとして、地元企業が参入できる環境整備や機会創出が重要になると言及している。
(當山幸都)