有料

肉用子牛価格下落で補給金制度発動 農水省が21年ぶり 10月の県内6市場平均は過去10年で最低


肉用子牛価格下落で補給金制度発動 農水省が21年ぶり 10月の県内6市場平均は過去10年で最低 全国的に肉用子牛価格の下落が続いている=17日、糸満市の南部家畜市場
この記事を書いた人 Avatar photo 玉寄 光太

 全国的な子牛価格の下落を受け20日、農林水産省は肉用子牛生産者補給金制度を発動した。牛海綿状脳症(BSE)の影響で子牛価格が暴落した2002年以来、21年ぶり。今年1月から実施されている和子牛生産者臨時経営支援事業の補填(ほてん)金と合わせて、県内では対象となる子牛1頭当たり8万2千円が交付される見込みだが、農家からは「値崩れが大きすぎて補給金が出ても赤字のままだろう」との声も上がる。

 県内の子牛価格は2023年度に入って6カ月連続で下落している。10月の県内6市場の平均価格の速報値は、前月比1602円(約0.4%)減の41万1796円(税抜き)となり、過去10年の最低価格を更新した。

 県内の子牛価格は、飼料価格や燃料費高騰などが直撃し、他県と比べても下落幅が大きい。コロナ禍の不景気による消費の落ち込みも追い打ちをかけた。40万円程度の子牛価格は採算が確保できる1頭当たり55万6千円を大きく下回っており、農家の経営は厳しい状況となっている。

 今回の補給金制度は7~9月に販売、または自家保留となった子牛が対象。県畜産振興公社によると、これから対象となる子牛のとりまとめを実施する。担当者は「11月末から12月初旬には交付金が振り込まれる予定だ。少しでも農家の役に立てれば」と語る。

 県内では子牛を競りに出しても赤字が続く中、貯金や生活費を切り崩して経営をしている農家も少なくない。本島南部のある農家は、2年前と比べて子牛価格が約20万円下落したことに言及し「支援はありがたいが、経営が厳しいことに変わりはない」と苦しい胸の内を語った。

(玉寄光太)