きょうから「産業まつり」 地域で愛された洋菓子を継承、優良県産品「いさ屋の黒糖サンナッツ」のストーリー 


きょうから「産業まつり」 地域で愛された洋菓子を継承、優良県産品「いさ屋の黒糖サンナッツ」のストーリー  総菜店「いさ屋」で販売されてきたサンナッツのレシピを引き継ぎ、商品化した薬膳琉花の宮國由紀江琉球薬膳研究家=26日、うるま市宮里の教室
この記事を書いた人 Avatar photo 與那嶺 松一郎

 地域で生まれ愛された洋菓子を守り多くの人に届けたい- うるま市(当時具志川市)の製菓店から誕生し、閉店後も1人の職人が作ってきたココナツを使ったタルト「サンナッツ」を、薬膳琉花(同市)の琉球薬膳研究家、宮國由紀江さんが引き継いだ。基本のレシピを守りつつ、素材にこだわって無添加の商品を新たに完成させたサンナッツは今年の「優良県産品」NEXT部門で最優秀賞に選ばれた。27日から始まる沖縄の産業まつりへ出展が決まり、目標へ一歩近づいた。

 サンナッツは宮國さんの父が経営する総菜店「いさ屋」が統合した「伊佐製菓」で、1970年代に開発された。洋菓子職人だった叔父の伊佐常福さんが手作りし、いさ屋で販売を続けてきた。しかし高齢となった叔父は限界を口にするように。「いさ屋の娘で、サンナッツ職人の姪めいである私が守ろう」と決意し、今年8月、バトンを受け取った。

 伊佐製菓は革新的でアメリカ文化を取り入れながら独自商品を作る意欲が高かったという。難しかった常温で日持ちする商品開発にも力を入れ、その中で生まれたのがサンナッツだった。

いさ屋の黒糖サンナッツ

 宮國さんは、歴史を含め継承することの大切さを再認識するとともに、琉球薬膳の研究家として、天然の黒糖を使用するなど沖縄が誇る「健康長寿」への思いを掛け合わせた。

 今後は工場の一部機械化を進め、現在の生産量1日500個から750個を目指す。販路もいさ屋と市内のうるマルシェから那覇市などへと広げる計画だ。

 宮國さんは「今も幅広い世代に愛されている県民のソウルフードだと思っている。叔父だけでなく何十年も一緒に作ってきた職人さんに喜んでもらいたい」と述べ、「『食べ物は薬(クスイムン)』という薬膳の考え方を商品に落とし込み、新たに価値を高めてきたい」と語った。


沖縄の産業まつり開幕 自慢の県産品が一堂に 29日まで奥武山公園

「県産品みんなで創る島の価値」をテーマに第47回沖縄の産業まつり(同実行委主催)が27日午前10時、那覇市の奥武山公園と県立武道館で開幕する。昨年までは新型コロナウイルス感染予防策を講じての開催だったが、4年ぶりに制限なしの開催となる。29日までの期間中、県内の事業者や団体が自慢の県産品を販売、紹介する。

 商工会特産品フェア「ありんくりん市」や「県発明くふう展」などの出展やオリオンビアガーデン、県産品展示即売会などの企画もコロナ前と同等の規模で実施される。

 屋内展は午前10時~午後7時、屋外展は午前10時~午後8時。那覇軍港西側特設駐車場から奥武山公園駅前バス停、公園前バス停を結ぶシャトルバスも運行する。

実行委員長に聞く産業まつり

4年ぶり制限なし「産業まつり」 約400社が出展、オンリーワンの県産品を 実行委員長・古波津昇氏<焦点インタビュー>

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