【名護】名護市の沖坤(宮城勝社長)は、コンクリート製造工場やミキサー車などの洗浄時に出る固形状の廃棄物「コンクリートスラッジ(生コンスラッジ)」を無害化し、道路植栽用の土などとして再利用する取り組みを実施している。県工業技術センターと共同で実施しているプロジェクト。生コンスラッジの処理は生コン事業者が抱える共通の問題となっており、再利用化が軌道に乗れば事業者のコスト減や環境への負荷軽減につながることが期待される。
生コンスラッジはミキサー車やコンクリート製造プラントの内側などに付着するもので、有害物質の「六価クロム」が含まれている。以前は再生路盤材として道路敷設の際に使用されていたが、県によると、有害物質の含有が明らかとなったため、現在は使用が認められていない。
専門家の試算では、コンクリート精製時、2%弱は生コンスラッジとなるとされる。県内のコンクリート生産量に置き換えると、年間で約4万立方メートルの生コンスレッジが発生することになる。多くの生コン業者はコストを掛けて廃棄物として処理するか、独自で保管して対応している。
沖坤は、生コンスラッジに中性化処理剤を混ぜ込むことにより、六価クロムを、自然界の土に広く存在している物質「三価クロム」へと還元させた。加工後、六価クロムの値は、環境省の土壌環境基準(1リットル当たり0.05ミリグラム以下)を大きく下回り、検査測定器械の下限値に当たる、同0.005ミリグラム以下まで減少した。さらに、中性化処理によって酸化反応が進み、強アルカリ性から、中性に近い弱アルカリ性へと変化したという。
沖坤は、中性化した土を再利用するための研究を県工業技術センターと進めている。北部土木事務所の協力を得て、名護市辺野古の県道13号沿いで、9月から中性化処理土と、通常の搬入土を投入し、雑草の防草作用を比較する実証実験を開始。約50日の検証で、搬入土は雑草が多く生えてきたのに対し、無機物化された処理土の部分にはほとんど生えていなかった。流出などもみられず、雑草の除去作業へのコスト減少が期待される。
今後は防草材のほか、歩道の舗装材、路盤材などに活用するため、研究を進めていく。県に対し、生コンスラッジの中性化処理土を「県リサイクル資材評価認定制度」で再生資源として認めるよう、技術改定要望書を提出する準備も進めている。
(池田哲平)