深刻な交通渋滞によって県全体で年間1455億円に相当する経済的損失があることが2日、沖縄総合事務局の試算で分かった。時給換算では1人当たり年間約9・8万円の損失に相当する。
県民1人当たりが渋滞に巻き込まれた時間は、年間で55時間。県全体の損失時間を単純換算すると生産年齢(15~64歳)人口の約5・5%に当たる4万8515人分相当の労働力が失われていることになる。総合事務局が渋滞による損失を試算したのは初めて。
那覇市の総合事務局で2日に開催された第1回沖縄交通リ・デザイン実現検討会で示された。総合事務局は過度な車依存社会脱却に向け、住民や観光客らへの聞き取りなどを通じ、望ましい交通体系の在り方を把握する取り組みを開始する。
2021年の自動料金収受システム(ETC)のデータを基に県民全体が渋滞に巻き込まれた時間を算出すると8144万6875時間。中南部地域が6908万192時間で84・8%を占めた。
21年の月平均総実労働時間139・9時間を基に渋滞で失われた労働力を試算。給与総額を月約25万円として時給換算し、渋滞の経済的損失を算出した。星明彦運輸部長は「全国一低い労働生産性に交通が一定の悪影響を及ぼしている」と指摘した。
(梅田正覚)