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沖縄の「マイカー依存」このまま続くと…「全国ワースト」が示す未来、国が描く「リデザイン」とは


沖縄の「マイカー依存」このまま続くと…「全国ワースト」が示す未来、国が描く「リデザイン」とは
この記事を書いた人 Avatar photo 梅田 正覚

 沖縄総合事務局が示した県内の交通渋滞の数値は、他県に比べても高い自家用車への依存度、混み具合のひどさを表している。車依存社会からの脱却に向け、沖縄総合事務局は行政や企業、住民らが計画策定に参画する「PI(パブリック・インボルブメント)」の手法を用いて交通体系を再検討する取り組みを開始する。

 まとめによると、20年度国勢調査のデータを分析すると通勤通学時に自家用車を使用する県民は本島中南部圏では65%に上った。同等の人口規模の神戸市では23%、広島市では35%だった。

 また、21年度の那覇市内の朝夕ラッシュ時の旅行速度(一定区間の通過にかかる平均速度)は時速10.5キロで、全国平均30.8キロより3倍渋滞しており、「全国ワーストクラス」と評した。

 総合事務局で2日に開かれた「沖縄交通リ・デザイン実現検討会」は冒頭以外は非公開。星明彦運輸部長は「慢性的な渋滞が悪化し、時間損失が拡大すれば、公共交通サービスはますます衰退せざるを得なくなる。そして自家用車の依存、時間損失のさらなる拡大などが懸念される」と語った。

 総合事務局は2023年度、中南部の大型商業施設で住民や観光客らに直接インタビューを実施し、それぞれが望むあるべき交通体系を探る。報告書を作成し、県の交通施策などに反映する。

 県も将来的な人口減や高齢者の増加、運転手不足に備えて今年7月から県地域公共交通計画の策定を進めている。基本方針に「脱・マイカー社会」の実現を掲げた。国と県のそれぞれで車依存社会からの脱却を目指している。

 (梅田正覚)

衝撃の数字

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