有料

「模倣品から守る」沖縄の伝統菓子ちんすこう 県観光おみやげ品公正取引協議会、国の保護制度に登録を申請  


「模倣品から守る」沖縄の伝統菓子ちんすこう 県観光おみやげ品公正取引協議会、国の保護制度に登録を申請   沖縄の伝統菓子ちんすこう
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 県内のお土産品製造業者などでつくる県観光おみやげ品公正取引協議会(松本元一会長)が、沖縄の伝統菓子「ちんすこう」について、地域の産品や食品ブランドを守る、農林水産省の地理的表示保護制度(GI)に登録を申請していたことが、6日までに分かった。

 伝統的なものとは異なる材料を使った模倣品がちんすこうとして一部流通していることへの危機感が背景にある。松本会長は「歴史あるちんすこうを守り、発展させたい」と語った。

 GIはその地域ならではの要因や環境の中で長年育まれてきた産品の名称を地域の知的財産として保護する枠組み。県内では2017年に琉球もろみ酢が登録されている。

 琉球王国時代から焼き菓子のちんすこうは宮廷菓子と珍重されるなど、長く親しまれてきた。現在は県民や観光客向けのお土産として定番の人気商品となっている。

 材料は小麦粉と砂糖、ラードなどを用いるのが基本。だが、半年ほど前からラードに代わってバターを使用するなど、県外企業が食味が異なる菓子を「ちんすこう」として販売する事例が確認されているという。

 GI申請では、ちんすこうの基本として小麦と砂糖、ラードを主原料として使用し県内で製造したものと定義した。形状やチョコレートでコーティングするといった工夫は、各生産者の自由となる。

 申請が認められれば、この規定を満たさないものは「ちんすこう」と表示できなくなる。模倣品は国によって取り締まられることになる。

 松本氏は「県内企業は中小企業がほとんどだ。県外の大手1社が「類似品」を手掛けるだけでも流通量は全く異なるため、県内企業が本当に困ることになりかねない」と語り、危機感が半年でのスピード申請につながったと明かす。

 鈴木秀元同会副会長は「暗黙の中で受け継がれてきた定義を明確にすることがちんすこうを守ることにつながる」と語った。

 農水省のGIには現時点で132の産品が登録されているが、県内で登録されているのは琉球もろみ酢のみ。松本会長は「沖縄にはさまざまな独自の産品がある。今後も、県産品の申請はあり得る」と話した。(知念征尚)