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賃上げ効果「限定的」との声も 国の「法人税減」 沖縄経済界の反応は


賃上げ効果「限定的」との声も 国の「法人税減」 沖縄経済界の反応は イメージ
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 賃上げを実施した中小企業に対し、増加額の最大45%の法人税を減税できるようにする自民・公明両党の税制拡充に対し、県経済関係者からは評価する声が上がる一方、効果は「限定的」と見る意見もあった。

 県建設業協会の津波達也会長は、協会としても賃上げへの機運醸成を図っていたとし「各社の取り組みにつながると効果が期待できる」と歓迎。今回拡充対象となる、前年度比1.5%以上の賃上げに賛同する協会員も多いとし「利益が出ることが条件なので難しい面はあるが、しっかり社員に還元していく方向に進むのはいいことだ」と期待した。

 県ホテル協会の平良朝敬会長は「賃上げ分の利益がわからないので、歓迎できるとも限らない」と受け止めた。人手不足が大きな問題となっている県内観光業界への影響に関しては「最近の傾向では、職種に魅力や良い待遇があるかが働く決め手となるので、単に賃上げをすれば人が来るというわけでもない」と話した。

 原材料費の高騰が続く中、中小・零細企業が多い県内では価格転嫁や賃上げに踏み切れない事業者も少なくない。減税は現行の最大40%から5%引き上げられるものの、県中小企業家同友会の喜納朝勝代表理事は「中小企業にとってありがたい制度には違いない」としつつも、「厳しさは変わらない。すぐに機運が高まるかどうか。全体を見ると効果は限定的だろう」と指摘した。その上で「抜本的な対策としてもう少し中小企業にスポットを当てた政策が必要だと思う」と要望した。

 (謝花史哲、與那覇智早)