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沖縄県の種雄牛に「美百合」を選抜 検定5項目で過去最高の成績、子牛は既に高値で取引


沖縄県の種雄牛に「美百合」を選抜 検定5項目で過去最高の成績、子牛は既に高値で取引 過去最高の成績で県の種雄牛に選抜された美百合(県畜産課提供)
この記事を書いた人 Avatar photo 當山 幸都

 県は19日、新たな肉用の県有種雄牛に今帰仁村の畜産研究センターで飼養している「美百合(ちゅらゆり)」を選抜したと発表した。子どもの肉質から種牛としての能力を調べる現場後代検定では、平均の枝肉重量が534.3キロ、サシの入り具合を評価する数値「BMSナンバー」は10・1と初めて2桁に達するなど、5項目で県内過去最高の成績を収めた。既に県内の家畜市場では子牛が高額で取引されており、前評判を裏付ける結果となった。

 検定では主要6項目のうち、枝肉重量とBMSナンバーのほかロース芯面積、バラの厚さ、推定歩留まりの5項目で県の歴代記録を更新した。今年4月に種雄牛に選抜された「百合安清」が過去最高を記録した4項目を、さらに上回った。

 美百合は検定の結果判明前からゲノム分析で高評価が出ていたこともあり、精液の売り出しが好調で既に子牛が家畜市場で多く流通している点も特徴。県畜産課は「ゲノムモンスター」の異名をつけてアピールし、2020年度から23年11月末までに精液の取り扱いは2万1057本となった。このうち、検定結果が出始めた23年度は11月末で7452本と最も多く、22年度(4036本)から急増している。

 10月にあった県畜産共進会では美百合の子牛が枝肉部門で優秀1席となり、1キロ当たりの単価は県内初の1万円で競り落とされた。12月6日の今帰仁家畜市場の競りでは去勢子牛が102万1千円でトップにつけるなど、高額取引が相次ぎ、実力を見せてきた。

 県有種雄牛に選抜され、来年2月から精液価格が千円から2千円に改定される。家畜市場での和牛の取引価格は低迷し生産者の苦境が続くが、県畜産課は「全国にPRし、市場の活性化につなげたい」と語った。

(當山幸都)