コーヒー栽培のスタートアップ企業、琉球コーヒーエナジー(西原町、高木伸明社長)と、ビール製造の島国ブルワリー(うるま市、儀武大樹社長)は26日、世界初となるコーヒーの木の実「コーヒーチェリー」の果肉を使ったビール「Coffee Cherry Beer100(コーヒーチェリービール)」を開発したと発表した。県産のコーヒーチェリーを活用した新たな地ビールに、両社は「沖縄の貴重な特産品となる」と胸を張った。
ビール特有の苦みを抑えた、口の中で広がるさわやかな味が特徴。
コーヒーチェリーは通常、豆と果肉、果皮に分離され、豆以外は堆肥として利用されるか、廃棄されていた。糖度20度以上あるコーヒーチェリーの果実を食べた高木社長は「とても甘く、アルコールができるのではないかと直感した」という。そこで、開発と製造を島国ブルワリーに依頼した。
使用したのは名護市の沖縄ナシロコーヒー園、中山コーヒー園、東村の比嘉ファームの県内農園のほか、米国ハワイ州コナ地区とタイで栽培されているコーヒーチェリー。果肉の青臭さを取り除きつつ、甘みや酸味を残すことが難しく、開発まで3~4カ月ほど試行錯誤を重ねた。醸造責任者のマイク・パターソン氏は「とても難しい試みだった」と話した。
今年8月に本格的に生産を開始する予定。価格は未定だが、県産コーヒーの付加価値を高めるためにも高級路線を視野に入れる。高木氏は「コーヒーを使用した商品が数多くできることで、県内のコーヒー農家が増えるきっかけになれば」と話した。
さらに、今回のコーヒーチェリーを使った県産ビールをきっかけに、コーヒー栽培を「果樹栽培」として県が認定することを望んでいる。果樹として認定されると、農家は行政からの支援が受けられるからだ。
高木社長は「農家が全額自費で生産している現状を変え、沖縄をコーヒーの一大産地にしたい」と訴えている。
(玉寄光太)