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気温上昇傾向の地球 台風きっかけに考える温暖化 <けいざい風水>


気温上昇傾向の地球 台風きっかけに考える温暖化 <けいざい風水>
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 「地球温暖化の時代は終わり、地球沸騰化の時代が到来した」。2023年7月、国連のグテーレス事務総長は世界を覆う熱波についてこう言及しました。地球温暖化は、二酸化炭素やメタン、フロン類といった温室効果ガスが要因とされ、世界平均気温は産業革命以前に比べて1度以上高くなり、このまま十分な対策を行わなければ2100年には世界平均気温は4度以上上昇すると言われています。実際に沖縄地方の気温も上昇傾向にあります。

 大雨や強風などの気象現象によって生じる災害を気象災害と呼びますが、近年、気象災害に関連するニュースをよく耳にするようになりました。沖縄県にとって身近な気象災害の一つに台風があります。地球温暖化による台風の発生数に長期的な変化は見られないものの、強い勢力の台風が発生する割合は増加する可能性があると言われています。

 例えば、2018年の台風第21号を一定条件のもとスーパーコンピュータで予測した場合、世界平均気温が産業革命以前に比べて4度上昇すると、最大風速は平均10・2m/s増加、1時間降水量も平均17・6%増加するというシミュレーション結果が環境省から紹介されています。

 沖縄地方は過去30年間(1994~2023年)で平均7・5個、04年は最多である15個の台風が接近しており、今後の地球温暖化によって台風による大雨や暴風、高潮等が増加する可能性があります。台風という身近な気象災害をきっかけに、地球温暖化を考えてみるのも新たな視点かもしれません。

この記事を書いた人
仲本 寛矢 沖縄銀行 リスク管理部 主任