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沖縄の生活とインフレ 物価に賃金追いつかず <けいざい風水>


沖縄の生活とインフレ 物価に賃金追いつかず <けいざい風水>
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 「食べ物が高くなっているね」。最近、生活の話題になると、この言葉をよく聞くようになりました。2022年以降、コロナの沈静化に伴い世界経済は急速に活性化し、物価も急速に上昇していきアメリカの23年の平均物価上昇率は前年比4・1%増となりました。一方、日本全体の消費者物価指数は23年が前年比3・2%増と同じく高い上昇率だったことが分かります。

 では、沖縄県はどうでしょうか。県が発表したデータでは23年は3・7%増と日本全体と比較して若干、高くなりました。沖縄は他の都道府県と比べて輸送コストがかかっており、近年の燃料費高騰なども相まって高止まりしていることが推測されます。

 ただ、一般的にインフレが起こっている場合は物価と賃金が同時に上昇していくことになります。そこで、毎月勤労統計調査の賃金指数(現金給与総額)を確認してみると、日本の23年の名目賃金指数は103・5となっています。一方で名目賃金指数を消費者物価指数で除した実質賃金指数は97・1となり、実質的な賃金は減少しています。

 沖縄県で比較すると名目賃金指数97・0、実質賃金指数は90・1でした。このことから、日本全体では賃金が上昇しているものの物価上昇に追いついておらず、沖縄は賃金上昇にも至っていないという状況が推察されます。

 世界的な円安傾向と物価上昇が続く中、県内企業と県内官公庁が積極的に連携することが、県内事業の活性化には重要だと思われます。官民一体となって「ゆいまーる」で頑張っていきたいものです。

この記事を書いた人
久貝 欣与 沖縄銀行 証券国際部主任