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沖縄の地銀、収益にプラス 住宅ローン利用者は負担増へ 日銀マイナス金利解除


沖縄の地銀、収益にプラス 住宅ローン利用者は負担増へ 日銀マイナス金利解除 イメージ写真
この記事を書いた人 Avatar photo 當山 幸都

 日銀がマイナス金利の解除を決定した。「金利のある世界」の到来は、県内の金融機関にとって収益にプラスに働き追い風となる。一方、低金利での借り入れに慣れてしまった企業は多く、物価高や人手不足に加えて金利上昇局面で発生する資金調達の際の追加コストへの懸念が強まる。不動産価格が高騰し住宅ローンの借入額は増加傾向にあるが、変動型を選択している利用者は負担が増すことになる。

 日銀那覇支店がまとめている県内地銀3行の年間の貸出平均金利は、この20年低下傾向が続いた。日銀の量的・質的金融緩和政策の導入後、2014年に2%を切り、23年には1・318%まで下がった。この間、地銀は貸し出しで得られる収益が先細り、手数料収入など非金利収益を拡大させ逆境に対応してきた。

 今後の焦点は、預金や貸し出しの金利改定がいつ、どの程度の幅で実施されるかだ。金利上昇局面では、貸し出しの原資を預金を通じて調達する重要性が増す。マイナス金利解除を受けて19日はメガバンクで普通預金の金利を引き上げる動きがあった。県内地銀も追随する可能性がある。

 マイナス金利解除から事実上のゼロ金利への小幅の政策変更となったことから、地銀関係者には「歴史的な動きではあるが、貸出金利にインパクトが出てくるのは追加の利上げの局面になってからではないか」との見方もある。
今後も日銀の政策金利が上昇すれば、貸し出しや住宅ローンの金利にも影響が広がるのは必至だ。沖縄の物価水準は全国より高く、実質賃金のマイナス幅も大きい。県中小企業団体中央会の岸本勇会長は「経営者は低金利に慣れてしまっている。賃上げ以上に物価水準は高く、1%台だった借り入れ金利が2~3%になるなら、厳しくはなってくる」と見通す。

 住宅ローンは利用者の多くが、当初の金利が低く設定された「変動型」を選択している。とりわけ、県内地銀には最長50年ローンの取り扱いがある。毎月の返済額は一定でも、金利が上がれば元本が減りづらくなるため、返済総額も大きくなる。
県不動産鑑定士協会の高平光一会長は「金利の上がり方にもよるが、住宅の売れ行きは足元で既に鈍っている。今後も影響は出てくるだろう」と話した。
(當山幸都)