1日付で就任した琉球銀行の島袋健頭取は4日、琉球新報のインタビューに応じた。日銀のマイナス金利政策解除で金融環境は転換期にある。今後重点を置く施策などを聞いた。
―「金利のある世界」に向かう中で就任した。
「昨年から委員会を設置し準備を進めてきた。資金の調達と運用のバランスシートをどう考えるか。マイナス金利下は預金を集めてもなかなか運用できなかったが、これからは預金がビジネスの起点になる。伝統的な預貸業務、有価証券運用をステージアップしていく。私自身は有価証券の運用に長く関わってきた。経験と知識を大いに役立てられるのではないかと楽しみにしている」
―日銀のマイナス金利政策の評価、解除の受け止めは。
「賛否両論ある中で、結果的にここまで日本経済が回復したことは一定の評価ができる。世界的にも日本だけがマイナス金利を続けるわけにはいかず、解除のタイミングもよかったのではないか」
―県経済への影響は。
「金融正常化に向けた第一歩で、緩和的な状況が続くことを踏まえるなら、これで県内経済がどうこうというところではない。今後さらに政策金利が引き上がる局面になれば、改めて影響を考える必要がある。行員も多くが『金利のある世界』を経験していない。どういった形で支援していくかを学び、お客さまが不安にならないようアドバイスをして進めていきたい」
―有価証券の運用はどう取り組むか。
「運用に求められる流動性を考えると、国債中心になる。金利の状況によってあと2~3千億円は投資できると思う」
―中期経営計画は2年目に入る。
「金利のある世界で学び、行動する組織を目指す。金利のない世界では役務手数料を増やし、今では収益の柱になった。これをベースに今後は資金利益を上げ、収益全体を底上げする」
「10年先を見据えた人材を育てていく。4月に新たに98人が入行した。営業現場の平均年齢も下がっており、中間管理職も含め、人への投資を通じて成長する好循環をつくっていく」
―他金融機関との経営統合の可能性は。
「県民にとって銀行を選択できるのはメリットで、現時点では銀行の論理で統合する状況にはない。一方で、島しょ県の沖縄ではどうしてもコストは高くなる。非競争分野やバックオフィスの共同化は積極的に検討していきたい」
(聞き手・当間詩朗、當山幸都)