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マンゴー、袋がけ時の「風」で“高品質”と“時短”に 農大卒業生が証明 沖縄


マンゴー、袋がけ時の「風」で“高品質”と“時短”に 農大卒業生が証明 沖縄 携帯型送風機を使ったマンゴーの袋がけを実演する県立農大の吉田野愛さん=3月、名護市の県立農業大学校
この記事を書いた人 Avatar photo 玉寄 光太

 沖縄県立農業大学校でマンゴー栽培の研究に取り組んできた卒業生の吉田野愛(のあ)さんは、在学中、日焼けなどから果実を守る防護用の袋がけ作業に、携帯型の送風機(ミニブロア)を活用することで、大幅な時間の短縮が見込めることを検証した。試算で1千平方メートル当たり、手作業に比べ9時間以上早めることができるという。袋がけの精度が高まればマンゴーの品質も良くなることから、農家の所得向上へ注目を集めそうだ。

 果樹専攻だった吉田さんは2年次のプロジェクト課題で興味のあったマンゴーを研究品目に選定。生産性向上に重要な一方、手作業で多くの時間を要している袋がけに着目した。ミニブロアで袋がけをしている農家の話を聞き、本格的に研究に挑戦した。

インターネットで購入した携帯式送風機

 マンゴーは日焼けで商品にならなかったり、伸びた枝葉で傷が付くと価値が下がったりし、農家にとって損失となってしまうため、防護する袋がけが重要な作業となっている。ただ袋がけも、袋と果皮がくっついた状態では色むらの原因になるという。熟練の技を要する手作業が一般的だった中、袋の下に通気のため開けられた穴から、ミニブロアで空気を送り膨らませる方法に解決策を見いだした。

 研究では、10分間で袋の取り付け枚数が手作業は平均14・3枚、ミニブロアは同18枚だった。1千平方メートル当たり4千個の果実を想定して試算したところ、手作業は46時間40分、ミニブロアは37時間20分で、作業時間は9時間20分短くなる。

 ミニブロアを使った袋がけは、実験で手作業より最高品質の等級「A品」の割合も高くなったという。品質向上による単価の上昇や作業経費の軽減などにより農家所得は1千平方メートル当たり8万7184円増加すると算出した。

 今年1月には佐賀県で開かれた意見発表会に県代表で出場し、成果を発表することができた吉田さんは「誰でも簡単に袋がけができる。農家の皆さんが楽しく作業ができるようになってほしい」と普及することを期待した。

 (玉寄光太)