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沖縄の地銀3行「有事」の対応策 銀行閉鎖や避難タイミングなど検討 先島を焦点


沖縄の地銀3行「有事」の対応策 銀行閉鎖や避難タイミングなど検討 先島を焦点
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 琉球銀行と沖縄銀行、沖縄海邦銀行の県内地銀3行は、有事の際の事業継続や従業員避難を想定した対応策を2024年度中にまとめる。今年1月以降、危機管理を担当する各行職員が複数回集まり、先島地域に焦点を当てて業務の優先順位などの検討作業を進めている。統一的な枠組みを整理し、各行のBCP(事業継続計画)などに反映させる考え。

 各行は自然災害に備えた業務手順は既にまとめているが、有事を想定したものは整備されておらず、金融機関としても初とみられる。

 銀行は、有事の際に国民保護措置を担う「指定公共機関」ではない。だが、住民の生活や移動に必要な現金を取り扱っており、国による事態認定に至らないグレーゾーン下でどこまで営業を継続すべきか、判断が困難な状況も想定される。

 有事の際の企業対応については、沖縄経済同友会が3月に提言を策定し県の玉城デニー知事に手渡した。提言をまとめる過程で民間企業の業務継続や従業員避難が課題として浮上し、県内3行で検討の場が設けられるきっかけになった。

 沖縄本島ではシナリオが複雑化するため、先島地域に絞り3行で銀行閉鎖や避難のタイミング、金庫の現金、書類の扱いなどの具体的検討を進める。ある地銀の担当者は「3行がここまで統一して取り組むことは他ではない。緊急事態に備える分野だからこそできる」と話した。早ければ24年度の上期で対応策をまとめ、3行による図上訓練の実施も見込む。

(當山幸都、当間詩朗)