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飲食業界、迫られる経営変革 コロナ5類移行1年 「沖縄の本土化進んだ」の声も


飲食業界、迫られる経営変革 コロナ5類移行1年 「沖縄の本土化進んだ」の声も 那覇市内(資料写真)
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 飲食の「自粛」や休業、時短営業などに翻弄(ほんろう)された県内飲食業界。コロナウイルスの5類移行から1年を経て、客足は戻りつつある。ただ、外食控えや時短営業に慣れた消費者の生活様式が変わったり、非接触サービスやキャッシュレス決済が浸透したりするなど、経営は変革を迫られている。

 県飲食業生活衛生同業組合の鈴木洋一理事長によると、売り上げや客足はコロナ前とほぼ同水準まで回復した。しかし現在は原材料費の高騰や人手不足を背景とした人件費の上昇もあり、利益確保には苦労している。赤字となる前に廃業する店舗も出るなど価格転嫁の工夫やDX(デジタルトランスフォーメーション)化による業務効率化も課題となっている。

 「沖縄の本土化が進んだ」と評する鈴木理事長。以前は午後8時ごろから会食し、深夜に帰る人も多かったが、今は夕方に始め、最終バスや終電で帰る人も増えた。こうした動向は「店選びにも影響する」と言い、営業時間を工夫したり、公共交通機関の「アクセスマップ」を発信したりする店が増えているという。

 タブレットやスマホで注文を受ける非接触型サービスも、コロナ禍で普及が加速した。注文履歴など蓄積されるデータを生かしたメニュー開発など、鈴木理事長は「目の前の人手不足と人件費高騰に対応するため、デジタルを活用した経営の効率化や、原材料費の価格転嫁をしやすいメニューの検討も重要だ」と指摘した。