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【記者解説】沖縄地銀3行トップ「景気は拡大」一致 金利上昇の波及、焦点に 3行決算


【記者解説】沖縄地銀3行トップ「景気は拡大」一致 金利上昇の波及、焦点に 3行決算
この記事を書いた人 Avatar photo 当間 詩朗

 県内地銀グループ3社の2024年3月期決算会見で、各社トップは旺盛な観光需要などを背景に県内景気が拡大するとの見方で一致した。3行いずれも事業性貸し出しを増やすなどコロナ禍からの回復で資金需要が高まりをみせるが、追加利上げを巡る日銀の政策を慎重に見極める考えも示した。一連の金利上昇局面が県内地銀3社の貸し出しや住宅ローンなどの金利にどう波及するかが今後の焦点となる。

 金利の動向は有価証券の運用見直しも迫る。減少傾向だった貸出金利回りが上昇に転じるかも注目される。4月に開かれた日銀の金融政策決定会合では追加利上げに前向きな意見が相次いでおり、政策金利の影響を受ける短期プライムレートを各行がいつ引き上げるかもポイントだ。

 おきなわフィナンシャルグループの山城正保社長は金利の上昇が民間需要に与える影響について「(需要減は)一定程度あると思う」とした上で好調な県経済を理由に「設備投資や事業運営資金の需要は出てくる。融資は伸びてくると思う」との考えを示した。

 琉球銀行の島袋健頭取は積極的に預金を獲得し、融資や有価証券運用に回す「伝統的銀行業務」を強化する考えを強調。「金利の状況に即した適切な運用で収益の最大化を図りたい」と述べた。

 沖縄海邦銀行の新城一史頭取は利上げの対応について「個人の住宅ローンや事業者には大きな影響を与えるので慎重に検討したい」との考え方を示した。

 日銀のマイナス金利解除で転換期を迎えた金融業界。今後あるとされる日銀の追加利上げに県内地銀がどう対応するか。金利リスクへの対応と収益向上をどう両立するかが求められている。

 (当間詩朗)