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孤独な農家の救世主 新里えり子(農業者・農福連携技術支援者) <仕事の余白>


孤独な農家の救世主 新里えり子(農業者・農福連携技術支援者) <仕事の余白>  新里えり子
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 「26歩」。これは私の畑の1畝(うね)20メートルを歩いた場合の歩数。それがゴールの見えない長距離に思えることが多々ある。機械化できていない細かい作業の時は、端から端まで1畝3時間程度かかる場合もあるからだ。畝の数は200を超え、心が折れそうになる。農家は孤独なのだ。そこへ救世主として現れたのが農福連携だ。

 農福連携(農業と福祉の連携)とは、障がい者が農業を通してやりがいを高め、社会参画を実現していく取り組みである。担い手不足や深刻な高齢化が進む農業の課題解決の一翼を担うと期待されている。

 当園にも農福連携の頼もしい助っ人達が現れた。百姓と言われるように、百も二百も仕事があるのが農業だ。仕事を細分化し、切り出すことで障がい者の特性に合わせ、仕事と人をマッチングすることができる。

 農業は様々な方が活躍できる素敵な業種なのだ。話はそれるが、他業種でもコンサルタントの方々がまず行うのが、この地道な細分化作業である。「コンサルがやる」と言うと、なぜかお洒落(しゃれ)に見えるから不思議だ。

 農業における手作業は、1人で行うと効率が悪いものが多いと感じる。だが、頼もしい助っ人達のおかげで、パフォーマンスは実際に1人平均1・3人分にも上がった。工程や作業見直しもかなった。作業人数が増えると効率が下がるというリンゲルマン効果なるものがあるが、私の畑では真逆だ。農福連携の頼もしい助っ人達に感謝である。私はもはや孤独な長距離ランナーではなくなった。