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活字を贈る 國場幸智(大和証券那覇支店長) <仕事の余白>


活字を贈る 國場幸智(大和証券那覇支店長) <仕事の余白> 國場幸智
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 那覇支店に来るまでの19年間、電車通勤だった。電車に乗っている時間は結構あったので、趣味となったのが読書である。といっても入社以来、社内リポートを読むくらいであまり活字に親しむことはなかった。だが、横浜へ東京本部の駐在員という立場で異動となり、自宅の千葉から東京を経て神奈川へと通勤するようになった際に、往復の時間がもったいないので始めたのがきっかけだ。

 本業の金融関連をはじめ、政治経済、歴史、宗教、回顧録、小説、そして沖縄などさまざまなジャンルの本を読んだ。横浜には2年半在籍し、その後、東京本部に戻ったが、読書は趣味の一つとして継続している。また多くのお客さまと仲間との出会いにも恵まれ、横浜時代は社会人としても大きく成長できた貴重な経験となった。

 東京本部に戻ってからは課長となり、部下を持つ立場となった。その際によく、部下へ本をプレゼントした。特に定期異動時に、栄転する部下たちに異動先の部門で必要になる知識と、全く関係のない教養などが学べる内容の本を複数贈った。当時の部において異動の際の恒例行事となっていった。贈られる若手は、やや当惑している感もあった気もするが、部下の未来を想像し本を選ぶのはとても楽しい瞬間だった。

 活字を読むことは現状に対しての特効薬的なものではないかもしれないが、長い人生の間にいつか役に立つものだと考えている。そんなことを考えながら、今も度々、部下に本をプレゼントしている。

國場 幸智 こくば・ゆきとも

 1981年12月、米国ニューヨーク州生まれ。生後すぐ帰沖し、昭和薬科大学附属高校卒、早稲田大学政治経済学部卒。2004年に大和証券入社。19年間の県外での勤務を経て、昨年4月から那覇支店長。14代目で初の県出身支店長。趣味は読書とお酒を飲みながらする料理。