世の中への関心を持つようになってから、あまり景気が良くなかった時間帯が長く続いたように思う。高校時代には大手銀行や証券会社が破綻、自主廃業となり、大学時代には金融機関の不良債権処理が長く議論され、株価はバブル後最安値を更新し続けた。就職活動時期は、まさに最後の氷河期といった状況だった。
日経平均株価の長いチャートを見ると、改めて、バブル崩壊以降は長くダウントレンドの時代が続いたことが確認できる。日銀短観にある業況、需給・価格、設備・人員、企業金融といった各項目の当時のデータを振り返ると、設備・人員・債務の三つの過剰、恒常的な需要不足が見て取れ、まさにデフレスパイラルといった環境であった。入社した2004年前後からしばらく回復局面となったが、08年にはリーマン・ブラザーズ破綻に端を発した世界金融危機が発生し、上述した環境は極めて厳しいものとなり、回復にさらに長い時間を要した。改めて、当時を生き延びた日本企業の底力の凄さを思う。
長い調整を経て平成時代の三つの過剰は解消され、デフレとコロナを乗り越え日本企業はいよいよ筋肉質となり、株価指数は堅調な展開が続く。デフレが去った日本経済にはインフレと円安が進行し、その対策として株式や外貨建資産を保有しようという、資産防衛としての有価証券投資が広がってきていると思う。円建債券の利回りも上昇している。有価証券を持たざるリスクについて、真剣に考える状況にあると感じている。
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1981年12月、米国ニューヨーク州生まれ。生後すぐ帰沖し、昭和薬科大学附属高校卒、早稲田大学政治経済学部卒。2004年に大和証券入社。19年間の県外での勤務を経て、昨年4月から那覇支店長。14代目で初の県出身支店長。趣味は読書とお酒を飲みながらする料理。