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業務用野菜、国産化を模索 3割輸入頼みに危機感 官民協議会、4月から活動


業務用野菜、国産化を模索 3割輸入頼みに危機感 官民協議会、4月から活動 野菜の国産比率推移
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 約3割を輸入に頼る加工・業務用野菜の国産化を進めようと、農林水産省が農家や加工業者らと「国産野菜シェア奪還プロジェクト推進協議会」を設立し、4月から活動を始めた。輸入相手国が中国など一部に偏る現状は食料安全保障の観点で問題があるという危機感から、年間を通じて切れ目なく国産野菜を供給できる産地づくりを目指す。
 加工・業務用野菜は主に外食や総菜向けに使われる。1990年時点では88%を国産で賄っていたが、2020年は68%まで低下した。日本の業者が安価な原材料を求めて海外からの仕入れを増やしたためとみられ、現在も国産野菜が97%を占める家庭用とは大きな乖離(かいり)がある。
 21年度の野菜の輸入状況を見ると、生鮮状態のタマネギやネギ、ゴボウの9割、冷凍のブロッコリーの5割を中国産が占めている。輸入元が偏る状況は海上輸送の停滞など何らかの理由で供給が途絶えるリスクを抱え、国産による安定供給確保が重要な課題となる。
 農水省によると、国産野菜が品薄な時期に輸入が増加し、例えばタマネギでは主要産地の北海道の出荷が減少する4~7月の端境期に代替輸入が増える傾向がある。このため国内の産地を多様化し、年間を通して安定的に国産野菜を供給できる体制を構築することが求められている。
 加工・業務用野菜は共働きの増加を背景とした「中食」などの広がりで需要が拡大している。坂本哲志農相は4月26日に開いた協議会の設立会合で「業務用野菜を戦略的に国産に切り替える必要がある」と訴えた。
 協議会は今後、野菜の品目ごとに必要とされる供給の量や時期、課題を洗い出し、生産や流通現場の連携強化を図る。産地と加工業者のマッチングを後押しし、国産化を推進していく方針だ。
 野菜の輸入 2021年度のデータでは、国内で消費する野菜のうち、79%の1101万5千トンを国内生産、21%の289万5千トンを輸入で賄った。輸入量は横ばいで推移しているが、人口減少などを背景に野菜の需要全体が減っているため、輸入のシェアは微増傾向にある。品目別ではカボチャ、枝豆、ブロッコリー、ホウレンソウなどの輸入比率が高い。