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生成AI悪用しウイルス 全国初摘発、暗号資産要求か


生成AI悪用しウイルス 全国初摘発、暗号資産要求か 生成AIを使ったウイルス作成事件の構図
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 対話型生成人工知能(AI)を悪用し、暗号資産(仮想通貨)要求やファイルの暗号化の機能を持つコンピューターウイルスを作成したとして、警視庁サイバー犯罪対策課は28日までに、不正指令電磁的記録作成の疑いで、川崎市幸区古市場1丁目、無職林琉輝容疑者(25)=詐欺罪などで起訴=を再逮捕した。複数の対話型生成AIに設計情報を回答させ、作成したとみられる。
 生成AIを利用したウイルス作成の摘発は全国初とみられる。同課によると、林容疑者は「身代金要求型ウイルス『ランサムウエア』で楽に金を稼ぐことに以前から関心があった」と供述し、容疑を認めている。元工場作業員でIT関連の職歴や学歴はなく「AIに聞けば何でもできると思った」とも話している。設計図に当たるコードを交流サイト(SNS)で知人女性に送っていたが被害は確認されていない。
 米オープンAIの「チャットGPT」などは犯罪に悪用されかねない指示に回答しないよう対策が強化されている。林容疑者は対策を回避する方法をインターネットで調べ、無料公開されている作成者不明の対話型生成AIを複数使ったと供述。ウイルス作成の目的を伏せるなど質問を工夫していたという。
 再逮捕容疑は昨年3月31日、パソコンやスマートフォンから複数の生成AIを使ってウイルスを作成した疑い。偽造身分証を使って他人に成り済まし、携帯電話のSIMカードを不正契約した詐欺などの疑いで今年3月に逮捕、押収したパソコンなどからウイルスを見つけた。