【名護】アウトドア事業のヤマップ(福岡市、春山慶彦CEO)が100%出資する子会社で、アウトドアに特化した保険商品を販売する「ヤマップネイチャランス損害保険」(木村彰宏社長)が、名護市のみらい5号館に設立した。アウトドア全般のけがや、遭難時の捜索費用を補償するレジャー保険、キャンプ用品などを補償する家財保険を販売。5年後の売上高80~100億円を目標に掲げる。名護市全域が指定の「経済金融活性化特別地区」の税制特例措置を活用した進出となり、同市で一般顧客向けの損害保険会社の設立は初めてとなる。
ヤマップネイチャランスは保険とテクノロジーを掛け合わせた「インシュアテック企業」。親会社のヤマップはスマートフォンのGPSで現在地や、登山ルートが分かる登山アウトドアプラットフォーム「YAMAP」を提供しており、登山者などのデータを活用して、保険サービスの商品提供に生かす方針だ。
提供するのは、割り増しなく、日常生活からアウトドア活動時のけが、遭難時の捜索費用などを補償する「外あそびレジャー保険」と、用品を補償する「アウトドア家財保険」の2種類。レジャー保険は、位置情報機能を利用し、アプリの利用者から行方不明者の情報提供を受けられる仕組みも構築した。
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5月21日付で金融庁から免許を受け、同28日から業務を開始した。金融庁が免許を付与した国内の損害保険会社としては35社目となる。
北部地域からの雇用創出、大学などと連携したデジタル人材育成に注力する考え。今後は個人の歩行データを活用した保険の提供も目指す。
ヤマップネイチャランスの木村社長は大手損保出身で、名護市の金融特区の立ち上げ時にも携わった。31日に渡具知武豊名護市長と開いた記者会見で木村社長は「自然豊かな名護で、テクノロジーを活用した新たな保険サービスを提供したいという思いで、会社をつくっている。(金融特区の設立から)20年の思いを込めた」と述べ、事業拡大に意欲を示した。
名護市には4月、保険会社対象の再保険事業を手掛ける「NTTドコモ損害保険」の開業など、同特区を活用した企業進出が活発化しつつある。渡具知市長は「(ヤマップネイチャランスの)名護市への進出は、金融業のさらなる集積や、雇用創出によるデジタル人材育成につながる」と期待を込めた。
(池田哲平)