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サイバー攻撃、常に脅威 北朝鮮関与を疑う声も


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 DMMビットコイン(東京)から巨額の暗号資産(仮想通貨)が不正流出した。仮想通貨は紙幣や硬貨のような実体的な価値を持たず、インターネット空間だけで取引される電子データで、サイバー攻撃の脅威に常にさらされる。セキュリティー専門家の中では北朝鮮の関与を疑う声もある。
 DMMビットコインは不正流出の原因などの詳細について「引き続き調査中」とする。一方、仮想通貨の調査会社「チェイナリシス」は1日、X(旧ツイッター)で情報システムに不正侵入する「ハッキング」によるとの見方を示した。
 不正流出は世界中で頻繁に起きている。チェイナリシスによると、ハッキングによって盗まれた仮想通貨は2022年に世界全体で約37億ドル(約5800億円)、23年は約17億ドルに上る。いずれも年200件以上のハッキングがあった。
 国内では14年、大手のマウントゴックスのサーバーがハッキングされ、当時のレートで約480億円分のビットコインが消失した。セキュリティー対策が不十分だったとされ、運営会社は破綻した。
 18年にはコインチェックが管理していた約580億円相当の仮想通貨、NEM(ネム)が流出。コインチェックの従業員がメールを通じてコンピューターウイルスに感染したのが原因とされ、国内最大の被害となった。
 仮想通貨を狙ったサイバー攻撃では、北朝鮮傘下のハッカー集団「ラザルス」が知られる。標的とする業者の従業員を交流サイト(SNS)で探し出し、業者の幹部を装ってメールを送ってウイルスに感染させる手口で、仮想通貨を窃取しているとされる。
 DMMビットコインは顧客の仮想通貨を保管する際に、ネットから遮断されているためにハッキングが困難な「コールドウォレット」を使っていた。複数の専門家は、高度なサイバー攻撃が駆使されたとみて、ラザルスの関与を疑っている。