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来春卒 「売り手市場」傾向 大学生の面接解禁


来春卒 「売り手市場」傾向 大学生の面接解禁 三井住友海上火災保険のオンライン面接で学生と話す採用担当者=1日午前、東京都内
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 来春卒業を予定する大学生らの就職活動で採用面接や筆記試験が1日、解禁された。政府が要請する日程ルールで罰則が設けられていないこともあり、実際は前倒しで内定が出ている。リクルートの調査では内定率(5月15日時点)は78・1%で同時期の過去最高を記録。ルールの形骸化が進んでいる。人手不足に伴う学生優位の「売り手市場」傾向が影響しており、学生の大手企業志向も高まっている。
 三井住友海上火災保険は1日、1次面接をウェブ形式で実施。面接を受けた中央大の女子学生(22)は取材に対し「結婚や出産といった将来を考えると、フレックスタイムなど制度もしっかりしていて、魅力を感じました」と話した。採用担当者は「1次面接に参加する学生数は前年水準を維持できた。将来のキャリアを決め切れず臨む学生も、まだ多いようだ」と語った。
 一方で、別の大手企業からは「2月から選考を実施している」「最終面接を行う段階」との声が相次いだ。リクルートによると、5月15日時点の内定率は昨年比で6・0ポイント高い。求人倍率は1・75倍になる見通しで3年続けて上昇している。
 今回から、インターンシップ(就業体験)で得た学生の情報を企業が選考に活用できるようになった。参加者を対象にした早期選考を行う企業も多く前倒しに拍車がかかる一因ともなっている。
 就職情報会社マイナビが来春卒業予定者らを対象にした調査(有効回答数約3万9千)で、就職先として「絶対に大手企業がよい」が9・8%、「やりたい仕事ができるのであれば大手企業がよい」が43・9%となった。計53・7%は昨年から4・8ポイント増だった。
 内閣官房の担当者は、選考早期化に関し「学生が十分な学習時間を取れなくなる恐れがある。ルールを守ってもらえるよう今後も企業に働きかけていく」としている。