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訪日急増、旅客税収3倍超 財務省 23年度、400億円規模 「観光公害」対策が課題


訪日急増、旅客税収3倍超 財務省 23年度、400億円規模 「観光公害」対策が課題 国際観光旅客税の税収推移
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 日本人、外国人を問わず、日本からの出国者に1回千円を課す国の税金「国際観光旅客税」の2023年度の税収が、126億円だった22年度の3倍を超える400億円規模となる見通しであることが3日、財務省への取材で分かった。新型コロナウイルス禍の収束を受けたインバウンド(訪日客)の急増が背景にある。観光客が人気スポットに押し寄せ、地域住民に迷惑をかける「オーバーツーリズム(観光公害)」対策に税収を活用することが課題となる。
 国際観光旅客税は、航空会社や船舶会社がチケット代に上乗せして徴収し、出国日の翌々月の月末までに国に納める。このため、3月に出国した人から徴収した税金の納付は5月になることがあり、この分は23年度の税収にカウントされる。
 財務省の3日の発表によると、23年度の税収は24年4月末までの途中経過で362億円で、22年度の同時期の3・5倍となった。5月の納付額は30億円超と見込まれ、23年度の税収は過去最高だった19年度の443億円に迫る可能性がある。20、21年度はコロナ禍で訪日客が激減し、税収は20億円に届かなかった。
 税収の使い道は「快適に旅行できる環境の整備」など3分野に限定。政府は各自治体のオーバーツーリズム対策を補助金で支援しているが、財務省と観光庁によると、国際観光旅客税の税収は充てていない。今後、オーバーツーリズム対策への税収活用が政府内で議論になりそうだ。

<用語> 国際観光旅客税 日本人、外国人を問わず、日本から出国するたびに千円を課す国の税金。2019年1月7日から適用が始まった。航空会社や船舶会社がチケット代に上乗せして徴収し、国に納めている。税収の使い道は(1)快適に旅行できる環境の整備(2)日本の多様な魅力に関する情報入手の容易化(3)地域固有の文化、自然を活用した観光資源の整備―の3分野に限定されている。