有料

4月実質賃金0.7%減 25カ月連続 物価高に追いつかず


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 厚生労働省が5日公表した4月の毎月勤労統計調査(速報、従業員5人以上)によると、物価変動を考慮した1人当たりの実質賃金は前年同月から0・7%減った。マイナスは25カ月連続となり、3月に続き過去最長を更新した。物価高騰に賃金上昇が追い付かない状況が続いている。
 大手企業を中心に賃上げ回答が相次いだ今春闘の影響が反映され始めたこともあり、名目賃金に当たる現金給与総額は2・1%増で、28カ月連続のプラスだった。0%台、1%台の伸びで推移してきたが、今回は2023年6月(2・3%)以来となる2%台を記録した。
 特に現金給与総額のうち、基本給を中心とした所定内給与が2・3%増で、増加幅は29年ぶりの高水準だった。
 統計の算出に用いる消費者物価指数が2・9%上昇し、差し引きで実質賃金はマイナス。3月分の2・1%減(確報)から見れば改善した。ただ歴史的な円安を背景とした物価高が長引き、今後も食品などの値上げが続く見通しだ。
 厚労省の担当者は「春闘の効果が一定程度出ているが(名目賃金で)良い数字が続くかはっきりしない。物価との兼ね合いもあり実質賃金のプラス転換時期は見通せない」との認識を示した。
 現金給与総額の内訳は、所定内給与が26万4503円、残業代などの所定外給与が0・6%減の2万181円だった。
 現金給与総額を主要産業別に見ると、減少したのは鉱業・採石業の10・5%減、不動産・物品賃貸業の2・6%減のみ。建設業の5・7%増をはじめ、ほかの産業は軒並みプラスだった。
 3月の実質賃金の速報値は2・5%減だった。