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旅客機燃料 各地で不足 増便できず、訪日誘致支障


旅客機燃料 各地で不足 増便できず、訪日誘致支障 新千歳空港=5月、北海道千歳市
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 旅客機用の燃料不足が全国各地の空港で深刻化し、国際線の増便や新規就航に支障が出ていることが8日分かった。訪日客の拡大に伴う増便需要の盛り上がりに、燃料を供給する石油元売り各社が対応し切れず、流通段階の人手不足も拍車をかけている。夏の旅行シーズン本番を前に、訪日客誘致を通じた地方活性化の取り組みに冷や水を浴びせかねない状況だ。経済産業省と国土交通省が各地の実態を把握した上で対策を検討する。
 広島県によると、広島空港では海外の航空会社がアジアと結ぶ路線の増便を計画したが、必要な燃料を確保できず修正を余儀なくされた。別の航空会社も夏以降の燃料を手当てできていないという。
 北海道でも新千歳、旭川、帯広の3空港で、燃料不足に伴う増便への影響が出ている。仙台空港の運営会社は「具体的な影響はないが、燃料不足への懸念の声が航空会社から上がっている」(広報担当者)と話す。
 地方空港の実情を知る自治体関係者によると、関西や四国、九州の一部の空港でも増便などに支障が生じる事態が起きており、全国知事会がまとめて国に対応を要請することを検討している。
 日本国内で給油する旅客機用燃料は、石油元売りが原油から精製し、航空会社との契約に基づいて供給している。元売り関係者は「既存顧客の需要増に優先して対応しており、国際線の新規客や急な増便に十分対応できていない」と認める。
 各社は中長期的な石油製品の需要減を見越して製油所の統廃合を進めてきたため、急な増産は難しい。臨時対応として燃料を輸入販売する選択肢もあるが、採算が取れないリスクを抱える。
 燃料は製油所から船やタンクローリーで各地の空港に運び、旅客機に給油される。
 ドライバーや空港での作業員の不足も指摘されている。