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エネルギー転換期、石油・ガスと脱炭素で「両軸」 グループの今後のビジョンとは りゅうせき社長・根路銘剛宏氏 <焦点インタビュー>


エネルギー転換期、石油・ガスと脱炭素で「両軸」 グループの今後のビジョンとは りゅうせき社長・根路銘剛宏氏 <焦点インタビュー> グループの運営について語るりゅうせきの根路銘剛宏社長=7日、浦添市西洲(喜瀨守昭撮影)
この記事を書いた人 Avatar photo 島袋 良太

 りゅうせき(浦添市)の8代目社長に根路銘剛宏(たかひろ)氏(53)が4月1日付で就任した。主力のエネルギー事業は脱炭素社会の実現に向け、大転換期を迎える。グループをどうかじ取りするか。今後のビジョンを聞いた。

 ―エネルギーの転換期にどう対応するか。

 「グループ事業の主力は石油・ガス。気候変動を背景に世の中が脱炭素に動いていて現在はトランジット、移行期にある。とはいえ当面はガソリン車が主力である状況は続き、次第にモビリティの多様化が進んでいく。離島県の沖縄は台風などの際にLPガスや石油が最後のとりでだ。ラストワンマイルまで届け、今を支えるエネルギーにしっかり取り組み、同時に脱炭素にも両軸で取り組みたい」

 「具体的には水素事業に挑戦する。内閣府の沖縄型クリーンエネルギー導入促進事業を活用し、2025年3月には沖縄で初となる水素ステーションを導入する。うるま市の敷地で太陽光発電を動力に水を電気分解して水素を製造する。ハイドロシャトル(移動可能な水素ステーション)に充填(じゅうてん)し、浦添市西洲の拠点に置く。通常の燃料電池自動車だけでなく、移動可能なので、港湾で工業用車両などにも供給できる。国の補助事業を活用した実証事業でコスト面などの課題を検証する」

 ―都市ガス事業にも参入した。現状は。

 「全国の都市ガス切り替えの状況を見ると、17年の自由化から7年で約18%が切り替えをしている。当社は参入から約2年だが、切り替えペースで見ると同じ水準となっており、順調だ。洗車や給油の割り引きなど、グループの他事業との相乗効果で展開していく」

 ―グループ全体で多角的な事業をしている。

 「2030年のグループビジョンを策定した。(1)エネルギー(2)ライフサポート(3)ビジネスサポート―の3領域を分類した。ライフサポートは、介護や保育から携帯電話や住宅など、人々の暮らしを支える物やサービスの提供、ビジネスサポートは県内企業の課題解決を支える事業となる。時代に合わせ新分野にも挑む。ビジネスサポートでは企業のサイバーセキュリティー事業を始める。沖縄で展開している事業の海外展開も検討している。人材育成、人への投資にもつながる」

 ―人手不足も課題となっている。人への投資はどう進めるか。

 「昨年度に続き、本年度も給与のベースアップをする。昨年、新たなコーポレートスローガンを『幸せの原動力』と決めた。まず従業員が幸せである必要がある。処遇改善だけでなく、働き方改革や多様な働き方の支援、資格取得など自らを成長させる投資も支援し、人への投資を積極的にしていく」

 ―改めて抱負を。

 「8代目の社長となるが、創業者の稲嶺一郎氏が掲げた『社業の公共性に徹する』という精神を引き継ぐ。りゅうせきは何のために存在し、われわれは何のために働くのか。若い人のチャレンジを後押しし、チームりゅうせきで次の世代を築いていきたい」

 (聞き手・島袋良太)