マリン観光開発(沖縄県那覇市、早川一正社長)は7日から、海中の二酸化炭素(CO2)濃度測定システムを搭載した水中観光船「ブルーカーボン・クルーズ」の運航を開始した。那覇港周辺の海の中を鑑賞しながら、サンゴ礁生態系の吸収によるCO2濃度の変化を、船上のモニターでリアルタイムで確認することができる。
CO2を吸収する森林を海藻などの海洋生物に置き換えた「ブルーカーボン」は、海洋地域の温暖化対策として期待が寄せられている。同社によると、ブルーカーボンについて知ることができる水中観光船は国内でも初めてだという。
10日の遊覧では、出発地の泊港付近のCO2濃度が371ppmだったのに対し、那覇港周辺では335ppmまで減少した。天候にも影響されるが、ソフトコーラルと呼ばれる柔らかいサンゴが広がる那覇港周辺の方が、CO2濃度が低くなるという。
同社は水中観光船を20年以上運航してきたが、2020年の2月以降、コロナの影響で運航を停止していた。ブルーカーボンについて関心を持っていた早川氏は、付加価値を付けた水中観光を提供できないかと考えていた。昨年2月頃から実証を重ね、水中鑑賞ポイントとしていた那覇港周辺海域でCO2が減少していることが確認された。持続可能な開発目標(SDGs)の一環として、ブルーカーボンについて知ってもらう水中観光船をリニューアルした。
早川社長は「観光客にはもちろん、修学旅行生や子どもの環境学習として体験してほしい。単に海がきれいだというだけではなく、ブルーカーボンについて知ってもらうきっかけになればうれしい」と話した。
遊覧は約1時間。大人1人3千円で、12歳未満は半額。定員は56人。詳細や予約は同社のホームページから。
(與那覇智早)