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セグロウリミバエ寄生確認 拡大阻止へ防除急務 識者「被害、ウリミバエと同程度」 沖縄


セグロウリミバエ寄生確認 拡大阻止へ防除急務 識者「被害、ウリミバエと同程度」 沖縄
この記事を書いた人 Avatar photo 新垣 若菜

 沖縄本島北部で確認されたウリ科植物に被害をもたらすセグロウリミバエ。県内で初めてとなる果実への寄生も複数発見された。国内での確認事例の少なさから同種は、寄主植物の移動規制がかかる害虫ではないが、このまま被害が広がれば植物防疫法に基づく緊急防除が開始され、移動規制の対象にもなり得る。識者は「規制がないから問題はないというものではない」と危機感を募らせ、徹底した防除の重要性を強調する。

 セグロウリミバエは、主にウリ科植物(カボチャやヘチマ、ゴーヤー、トウガンなど)の生果実に産卵して幼虫が果肉を食い荒らす被害がアジア全域で報告されている。そのほかトウガラシ、トマト、グアバ、インゲン、パパイアなどへも寄生するという。

 県内では3~5月にかけ名護市で7匹、伊是名村で1匹のオスが調査用トラップにかかり、6月も複数見つかった。

 昆虫の生態に詳しい岡山大学の宮竹貴久教授によると、過去に県内で農作物に多くの被害をもたらしたウリミバエと生息地や生活史などが近似しており、成長も同様の14日程度で成虫に育つとされる。被害程度の分析は国によって異なるが、おおむね「ウリミバエと同程度の被害が予想される」と指摘する。

 ウリミバエは、1919年に八重山群島で確認され、その後、県全域に被害が拡大。県外に農産物を出荷することが植物防疫法で規制された。日本復帰に伴い、72年から根絶実験事業が開始し、不妊虫を放飼するなど本格的な防除事業を展開。93年に根絶宣言した。

 セグロウリミバエも広がりが確認された場合は、県や専門家などでつくる対策検討委員会が開かれ、緊急防除の必要性があると判断されれば移動規制の措置が取られることもある。事例の少なさから国内では研究蓄積が多くないが、宮竹教授は「被害が大きい可能性もあり得る」と語る。

 まん延を防ぐためには徹底的な防除が重要で、産卵を防ぐために果実の袋がけや周辺地域の寄生果実の処分など対策を取る必要がある。

 県では、寄生が確認された地域周辺のウリ科野生植物を除去しているほか、県内全市町村に、野生虫を捕らえるため設置している534カ所(2018年時点)のわなをさらに増設して監視を続けている。 

(新垣若菜)