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総菜50種、食卓充実へ セブン-イレブン トレンドでコンビニ激戦区に攻勢<小売烈戦ー激変の沖縄市場>11


総菜50種、食卓充実へ セブン-イレブン トレンドでコンビニ激戦区に攻勢<小売烈戦ー激変の沖縄市場>11 5年前に沖縄に進出したセブン―イレブンの店内。主菜から副菜、箸休めまで幅広い総菜を取りそろえるのが強みの一つ
この記事を書いた人 Avatar photo 島袋 良太

 5年前の全国45位から今年4月には3位に上昇した。これは人口1万人当たりコンビニ数の沖縄の順位だ。

 国内シェア首位の「セブン―イレブン」は沖縄に進出した2019年以降、相次いで開店し、好立地やシェアを奪われまいと沖縄ファミリーマートとローソン沖縄の先行2社も新規出店を急いだ。既存店のそばに別の系列店が立地したり、同系列店が近隣で展開したりするなど、瞬く間に全国有数のコンビニ激戦区となった。

 「セブン」は沖縄に進出した19年、5年で県内250店を目標に掲げていた。一方、24年4月現在で172店と目標には届いていない。セブン―イレブン・沖縄の久鍋研二社長は、コロナ禍でのペースダウンを認めつつも「次は200、250、その先は300店を計画している」と強気の姿勢を崩さない。

多くの人が駆け付けたセブンーイレブンのオープニングセレモニー=2019年7月11日、那覇市松山

 セブンは県内展開に備え、総菜や弁当を作る自社工場も整備した。急速な店舗開設に伴う初期投資もかさんでいるとみられ、沖縄単体での事業黒字化には至っていない。ただ、競合他社の関係者は「今後さらに店舗が増え、出店ペースも落ち着けばよりスケールメリットも出るだろう。長い目で見ると脅威には変わりない」と口をそろえる。

 県内では「ファミマ」や「ローソン」が地元の消費志向を強く意識した商品展開を手掛ける中、セブンはローカル需要に対応しつつも、ライフスタイルへの適応や健康志向など、社会全体のトレンドを意識した商品展開を打ち出している。

 「ポーク卵おにぎりやソーメンちゃんぷるー、沖縄そばも置いている。ただローカル系の構成比率を何%にしないといけないというのはない。最後に求められるのは味と安心だ」。久鍋社長はそう言い切る。

 圧倒的に多いのは総菜の品ぞろえだ。主菜、副菜、箸休めとさまざまな商品群をそろえる。県内店舗での「セブンプレミアム」総菜取り扱いは約50種に上る。共働きも多く、忙しい毎日を送る人たちが日々の食事で主菜や副菜の全てを手作りはできないとしても、セブン総菜を組み合わせれば充実した食卓を作り上げる生活を後押しできる。

健康志向に対応し、スムージーの容器にはにカロリーや栄養素が記載されている

 もう一つの力点は「健康志向」だ。例えば23年に発売したスムージーは、カロリーや栄養価を容器に表記している。「1/2日分の野菜が摂れる」シリーズの弁当や総菜は根強い定番だ。

 取り扱う商品構成については出店する地域性も綿密に調査、分析して常に見直す。居住地域か商業地か。観光客はいるか、それは国内客か訪日客か、その国籍は―。国内コンビニ業界でシェアナンバー1の実力が蓄積してきたシステム力で攻勢を続ける。

(島袋良太)

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