日本銀行那覇支店(小島亮太支店長)が1日に発表した9月の県内企業短期経済観測調査(短観)は、全産業の業況判断指数(DI)がプラス42で前回6月調査から9ポイント改善した。改善は2023年12月調査以来3期ぶりで、同期に並ぶ高水準だった。夏場に観光客数が増加したことに加え、官民共に好調な建設関連、宿泊・飲食サービス、小売業を中心に販売価格の引き上げが行われ、利益率が改善したことなどが要因となった。
小島支店長は「今夏は観光客数が増え、業況感は改善した。売上高と経常利益についてはコロナ禍の大きな落ち込みから回復し、コロナ禍前の水準になっている」と解説した。
業種別でみると、悪化は製造業が4ポイント下落のプラス40、運輸・郵便が15ポイント下落のプラス23で、2業種だった。食料品製造業からは円安に伴う輸入原材料費の上昇から利益が減少したとの声があった。最も大きく改善したのは43ポイント上昇の宿泊・飲食サービスで、国内、海外客共に増加し、客室稼働率で高い水準だった。
販売価格判断DIは全産業ベースで上昇した。製造業の先行きはプラス52と12ポイント上昇する見込み。秋からの食料品価格改定など原材料価格上昇分を価格転嫁する動きが続くとみられる。非製造業でも人件費上昇分を販売価格に転嫁する動きがあるという。
借入金利水準判断DIは全産業で6ポイント上昇のプラス17。先行きが19ポイント上昇のプラス36で、金融機関から金利引き上げの打診を受けた企業が多いとみられ、金利上昇を見通す動きが県内企業に広がっている。
(当間詩朗)